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世界はこう変わる

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2010年11月15日

ならず者としての国家――旧社会主義国での国家概念

エストニアとリトアニアに行ってきた。講演旅行。
大学で講演し、学生たちの質問を受けてみると、ああそうかと感ずるところがある。それは、旧社会主義国と言うかソ連イデオロギーの影響を受けた国々に住む者の、「国家」についての理解が西側に住む者のそれとは違うということである。

彼らは国を強い国、大きい国、有名な国とそうでない国々に分け、それぞれに格付けをして序列をつける。各国の政府は少しでも上の格に上がろうとして、いつも闘争しているのだ。まあここまでなら、欧米でも日本でも見られる現象なのだが、旧社会主義国における「パワー」は性悪なところが違う。他国の迷惑になること、あるいは無法なことを通すことが、国際場裏における国家のパワーだ――こう、彼らは考えているように見える。

それは、近世以前の重商主義的・ゼロサム的国家論そのままである。
パワーに伴う責任、弱いものを助ける責任などは考えない。

そしてパワーの一番の基礎を成す経済力についての考察が、彼らは全然足りない。「米国経済は下り坂、中国経済は昇り一辺倒」とレッテルを貼って、詳しい分析は全然しない。ロシアはせいぜい石油の輸出だけでGDPを膨らませているのに、それを国の実力と勘違いする。

これでは国家をならず者みたいにしてしまうだろう。アレクサンドル・ドゥーギンという地政学者がロシアにいて、彼の書いた「地政学原理」という分厚い教科書は今でもリトアニアの大学で使われているそうだが、こういうのが害悪をいつまでも流し続けているのだろう。

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