2010年9月17日
天津での印象 1 イントロ:中国とは日本の全知全能を傾けて
―――中国に行くといつもその高層ビル群に圧倒されて、これだけの富を短期間にどうやって搾りだしたのか、キツネにつままれたような気になる。「これならどの国も豊かになって不思議じゃない」。さしずめこの30年、欧米の連中は日本に来てはいつもこれと同じようにキツネにつままれたような気で帰って行ったのだろう。今度はわれわれが同じ目にあう番のようだ―――
9月6日から3日間、天津の南開大学で日本の政治・経済・外交について集中講義をしてきた。その後は、天津郊外の新しい経済開発区などを視察し、中国の企業幹部数名の話も聞いた。短期間の滞在ではあるが、中国第三の都市天津(都市圏人口は1200万人強)で受けた印象を記しておく。天津は初めてだが、上海と同様、見る人を圧倒する発展ぶりだった。
一言で言えば、「中国の発展は確かにまだ多くの問題を抱える。だが日本もかつて、『脆弱な花』とか言われていたのだ(相変わらず脆弱だが)。ふだん日本にいると、中国のことを濠の向こうの象を見るように他者感をもって考えているが、実際には中国という象はもうわれわれの部屋のなかにまで入ってきている、と思ったらいい。
福沢諭吉が『文明論の概略』を書くまでは、中国は日本の知識階層にとって教養のほぼ全てだった。これからは、中国語も勉強せずに中国とつきあうようなのは不真面目で、日本の全知全能を傾けて取り組んでいかないと、立ち位置を失ってしまう」というものである。
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.japan-world-trends.com/cgi-bin/mtja/mt-tb.cgi/1221