最大級バブルの崩壊――産業革命後の世界秩序崩壊へ?
ギリシャ国債問題や、それに関連してスペイン、ポルトガルなどの「カントリー・リスク」議論を見ていると、ITバブル、サブ・プライム・バブルと金融恐慌が、あたかも世界経済の弱化を示すがごとく、断末魔の喘ぎのようにその間隔をどんどん狭め、ついに究極のバブルに至ったのかという感じがする。
バブル崩壊は世界経済の終わりではない。人間がモノやサービスを欲し、それを買い、それを生産していく限り、経済は終わらない。ただ、金融恐慌が2年前のようにモノ作り、サービスをも阻害すると、世界の所得水準は一気に低下し、それに応じて経済は一段、二段低いところから再スタートということになるだろう。
カントリー・リスクだから、バブル崩壊の規模は大きいだろう。英国、米国、そして日本にも及ぶかもしれない。そしてその結果、世界秩序が変わるのだろうか? 大航海時代以来、そして産業革命以来、連綿として続いてきた欧米文明の支配は遂に終わるのか? いや、BRICsの経済もそれ以上の打撃を受けて20年前くらいの姿に戻るのか?
そして、選挙権の拡大に伴って連綿と続いてきた社会保障の拡大、そして票欲しさ故の大衆迎合(ポピュリズム)は、絶え間ない財政赤字の拡大を生みやすいが故に、その限界に達したのか?
さらに、近世から用いられ、遂には金価格との連係から解放されて膨れ上がり、数々のバブルを生むに至った管理通貨は、その信を最終的に失い、世界通貨体制は何らか別の原則で動き始めることになるのか? 金本位への復活? いやそれは、経済成長を阻害するうえに、豊かな国と貧しい国を固定してしまいがちではないか?
目のこらしどころだ。ギリシャ国債問題は、19世紀以来の世界秩序、国家体制、そして民主主義が賞味期限に来たことを示すものかもしれない。
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コメント
バブルが崩壊すると、社会や経済システムに対する信頼が崩壊しますね。
ソ連が崩壊した時、ロシアでは流通システムが動かなくなり、飢え死にする人もいる一方で、作物が腐って山積みになっていたとか。
世界貿易に完全に依存している日本は、何とか食糧やエネルギーなどの国内調達率を上げる努力を皆でする必要があります。
太陽エネルギーを発電に使うだけでなく、家の建てかたを工夫して、暖冷房エネルギーを節約することを考えるなどの研究会を始めようかと考えています。
バブルの崩壊で必ず生じるのは貸金がもどらないこと。個々の取引では貸し手の泣き寝入り(これ自体たいへんなことです)だが、金融機関については一定のものは政府の資金で措置(戻ってこない資金を政府の債務に振り替えたり価値の減価した債権を引き取る/買い支える)せざるを得ない。要するに財政支出が残る。危機後経済が急回復し税収が急増することは確率0に近いので、結局政府に赤字がたまる。いってみれば帰ってこなくなった金を政府に付け替えて時間を稼ぎ徐々に税金で処理するということです。かたや多くの政府の社会保障に関する約束は長期のもの(そして政治的にオーバーコミットが多いので)なので継続的に多額の支出が必要。これに不良債権処理の不意の支出が加わるわけだから結局国民をなだめて、ごまかしてetc税金を集めるしかないということになります。ところで政府は所詮成長率を上げられないので稼いでくれる企業を生み出すか誘致するか、これらの環境整備をやるしかありません。
わが国は得てして企業がけしからんという議論になりがちです。借金を踏み倒す企業がけしからんのはそのとおりと思いますが、上記のように金の卵を産むのも企業しかないのです。マスコミも政府も掛け声は単純になりがちですがけしからんということと別に金の鶏をいかに呼び込むのか冷静になってほしいものだと思います
nouriti様のご指摘に賛成します。
企業は叩くのでなく、奨励するべきです。
但し、できるだけ日本でも生産を維持してほしいし、日本国内での利益の配分では賃金の部分を増やしてほしいと思います。
まあ、日本国内でのビジネスの利益率は低いので、大企業が海外に流出しがちなのはしょうがないとして、国内に残った我々は技術やサービスを中心に新しい企業を興していくしかないのだとも思いますが。
「わが民族を救うことは金融の問題ではい。現に存在する労働力をいかに活用し、いかに投入するかという問題であり、また現に存在する土地とその資源をいかに活用するかという問題である」これは、ある有名な人物が85年前に書いた一文ですが、まさにその通りであると思います。
プラザ合意後4半世紀経た今日、心配された産業の空洞化が現実となり、マンガ、アニメで世界を席巻したと浮かれている間に、韓国にお株をすっかり奪われてしまいました。
昨今騒がしい「税体系」の見直しも重要には違いありませんが、もっと根本的な国家の根幹となる「社会制度」の見直しこそ急務なことではないでしょうか。
将来の世界環境を考えた時、まず第一にやるべきことは食料の「自給率」を100%にするべきであり、水と気候に恵まれたわが国においては、決して不可能ではなく、むしろ優れた技術を活用した「農業革命(植物工場?)」が期待されます。
とは言え国際価格との問題を解決させるためには、サラリーマンを早めに退職させ、年金で生活の基礎を保障し、残りの人生を「ボラバイト」として農業に従事させる政策が望まれます。
これにより高齢者の「生きがい」と「健康」が促進され、若者への就業の機会増も期待できることになると考えていますが、いかがなものでしょうか?
青年層に譲るという考え、賛成です。農業だけでなく、年金生活者ができる仕事はたくさんあると思います。