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世界はこう変わる

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2024年10月 9日

米国は通常弾頭ミサイルで、中ロのミサイル発射サイロを一網打尽に?

 9月4日、英国のThe Guardianは次の面白い記事を掲載した。「ロンドンのSOAS大学のDan Plesch教授とManuel Galileo教授は、最近報告書を発表した。それによると、米国は手持ちの空中発射JASSMミサイル(joint air-to-surface standoff missiles)、そしてトマホーク巡航ミサイルで、ロシアが150、中国が70持っている長距離戦略ミサイルの発射サイロを同時に破壊できる。これは中ロを軍拡競争に誘い、世界の情勢を不安定化させかねない」というもの(https://inview.org.uk/news/177377-expertc_warn_that_the_usefs_arms_advantage_over_russia_and_china_poses_a_threat_to_global_stability)。

 両教授によれば、中ロ両国のサイロは国境から2500キロ以内にあるので、米国とその同盟国が有するJASSMs3500基とトマホーク巡航ミサイル4000基で対処ができる由。

通常弾頭のミサイルで中国、ロシアの長距離・戦略核ミサイルを叩く、というのは、米国の正式の戦略にはなっていないはず。両教授は、「米国はこれだけの優位を持っているのだから、それに加えてロシアの極超音速ミサイルへの対抗手段を開発するなど、際限のない軍拡競争をするべきではない」ということを言いたいようだ。

ロシアは、米国の通常弾頭のミサイル配備に神経質になっている。欧州方面だけではない。極東では、日本が米国製トマホーク巡航ミサイル等を大量に購入しようとしていることへ、執拗な批判と抗議を繰り返している。最近、ロシア軍機が日本に挑発的行動を繰り返しているのは、これとも関係しているだろう。

一方、核弾頭つきミサイルについては、米国で公式の動きがある。2026年米ロの新START条約が期限を迎える。これは双方、相手に届き得る核弾頭の数を各々1550以下に制限するというものなのだが、中国やイラン、北朝鮮の脅威が増す現況では、米国にとって窮屈過ぎる制約になっている。この条約が切れるのを見込み、米国は保管中の核弾頭を既に現場に復帰中である。

これら一連の動きは現在改定中のNuclear Posture Reviewに取り込まれるだろうし、日本が米国から数百基も購入する意図を表明したトマホーク巡航ミサイルも、核弾頭搭載の是非がそのうち話頭に上るだろう。

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