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世界はこう変わる

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2020年4月26日

石油メジャーが石油に見切りをつける日

3月来の原油価格暴落は、ロシア、サウジ等原油依存国の経済・政治を根底から揺り動かしつつある。その中で、この原油価格下落の意味・見通しについて、世界で論議が高まっている。

その中には、原油価格の下落は当面、再生可能エネルギーを不利な立場に置くにしても、低価格が長期化すれば他ならぬ化石燃料生産者達自身が破綻していくだろうこと、そしてメジャーは収益を生まない分野に投資をすることはやめるだろうことを指摘する者も現れている。いつか彼らが、伸び盛りの再生可能エネルギーで収益を上げることにシフト、邪魔になった石油産業・産油国を、世界の環境運動を煽ることで殲滅しようという動きに出ても不思議はない。

再生可能エネルギーは、日本で一般に考えられているより、はるかに普及している。ドイツでは再生可能エネが発電の46%をになう (但し電力のかなりの部分をフランスの原発に依存)。デンマークでは風力が発電の40%を占めており、米国も2000年代は風力発電に注力して2018年までに再生可能エネでの発電量が倍増 、風力・太陽発電での発電単価は原子力・石炭を大きく下回るものになっている 。メジャーにとっては、有望なビジネスなのである。

米国メジャーは最近米国内、特にシェールに投資してきたが、最近に至って開発のテンポが鈍化し、投資家が化石燃料離れし始めたことを指摘する記事も現れている 。

次世代エネルギーとして次第に世界のコンセンサスになりつつあるのが、水素、そして水素を燃やして電力を取り出す燃料電池(と、それによって動く電気自動車FCV)である。トヨタが米国で進める燃料電池車開発には、西側メジャーのロイヤル・ダッチ・シェルも加わっている 。ドイツ・フランスでは、燃料電池鉄道の開発・運行が始まっている 。問題は航空機、大型船舶の動力にはまだ石油が欠かせないことである。

水素の製造法にはいくつかあり、安い天然ガスから抽出する方法も有力である。この場合、ロシア等天然ガス産出国には浮かぶ瀬が残っているが、太陽光発電で海水を電気分解して水素を生産する方法が確立されると、化石燃料生産依存国は化石化することになるだろう。それはロシア、湾岸諸国、中央アジア・アフリカのいくつかの国であろう。

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