ロシアのアフリカ熱
日本では、アフリカ諸国との首脳会議であるTICADが8月28日、横浜で開かれる。最近すっかり中国に席巻された感のある――それは感じの問題で、実際には旧宗主国であるところの欧州諸国のプレゼンスが根強いだろうが――アフリカで、日本が長年営々として築いてきた関係を少しでも盛り上げたい、というわけだ。
アフリカは人口が11億人、GDP総計は100兆円を超え、最後に残されたフロンティア。だから経済面でもアフリカとの関係は重要なのだが、それと同様大事なのは、国連等の選挙での重要な票田ということだ。国連加盟国193ヶ国のうち、アフリカは54を数える。国連やその他国際機関では、いろいろなこと、そして機関の人事について頻繁に投票が行われる。そのたびに、日本の大使館は相手国政府に対して日本人の候補や決議案に支持を依頼するのだが、国の数の多いアフリカは重要な票田なのだ。
同じことをロシアも考え、この国はソ連の時代から南アフリカとかアンゴラに布石を打って来た。モスクワの大学にも黒人の留学生は多く、ロシアの白人に差別されながら、勉学に励んでいたものだ。ソ連崩壊でこれは一時無に帰したが、その後国力にまた余裕が出るとともに、米国が嫌がることなら何でもやる、利権の匂いのするところならどこへでも出ていくというロシア人のならいで、この2年程アフリカへの進出が目立つ。中央アフリカ共和国には多数の「傭兵」を送って政権を助けているし、スーダンでもロシア兵員が目撃されている。近年ではナイジェリアへの進出も目立つ。
そしてこれら努力の当面の総仕上げとして、10月にはソチに50カ国を招待、ロシア版TICAD「ロシア・アフリカ経済フォーラム」開催を計画している。アフリカ諸国の首脳達はかくして、日本、中国、ロシアと、いろいろ忙しくして仕方ない。行きたいのは欧州、米国なのだろうが、そうは問屋が卸さない。
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