トランプは 戦後の世界体制 をどこまでこわすか その二 トランプは国連を破壊したか?
国連は、世界の平和と安定を維持するために作られた。しかし国連憲章第42条の定める「国連軍」(国連が指揮する統合軍)は今に至るも結成されておらず、結局米軍が世界の警察官として振る舞っている。それでも、国連安保理はいずれかの国の行動の正否を判断し、不当と判断したものには非難、或いは制裁を課すことで、国連の意味を何とか保持している。
しかしトランプは、国連も、「世界の警察官」役も嫌いである。それは、米国の大衆の気持ちを代弁するものでもある。そのことは24日の、「米国は石油を自給できるので、ホルムズ海峡の安全は原油輸入国の中国や日本といった国が守るべきだ」というトランプのツイッターで決定的に明らかになった。これは米国内向け、しかもツイッターという不規則発言なので、米国防省、国務省はこれには与せず、日本等同盟諸国も「ああ、またトランプの選挙向け発言か」ということで糊塗するだろうが。
国連に話しを戻すと、ヘイリー国連大使が2019年1月、多分トランプの支離滅裂な外交に閉口して辞任して以降、後任は決まっていない。代行のままである。正規の大使がいなければ、安保理でのP5諸国の大使と同等には渡り合えない。こうなると、世界の政治はトランプの好きな「二国間の取引」で決められるようになる。
米国は既にユネスコ、人権委員会から脱退しているが、国連全体から脱退するようなことはあるまい。ニューヨークに国連本部を置いておくことは、それだけで世界における米国の地位を担保してくれる。
トランプが大統領でいる間は、国連は青息吐息で生きながらえるしかない。グテーレス事務総長などは、活動ぶりがまったく見えない。これからの数年国連は、もっぱら途上国の大使、外交官に居心地のいい職場を提供するだけの存在に堕するだろう。
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