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世界はこう変わる

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2019年7月 1日

プーチンの足元、液状化

(これは6月26日発行のメルマガ「文明の万華鏡」の一部です。

プーチンの足元でも、驚天動地のできごとが起きたばかり。これまで警察幹部等の汚職(墓地、葬式に関わる利権・癒着等)を調査、報道してきたMeduzaという独立系メディアの記者Golunovは6月6日、麻薬取引(でっちあげ)を摘発されて逮捕されたのですが、10日にはリベラル系主要3紙がおそろいの一面トップ、「私もイヴァン・ゴルノフ。私たちもイヴァン・ゴルノフ」と大書したお揃いの紙面で、彼への支持を訴え、釈放を求めたのです。12日に街頭行動をする呼びかけもSNSで流布されました。ここでプーチン大統領は電光石火の早業。6月11日にはゴルノフを釈放させるとともに、同日、内務大臣の上申を受けて、本件を手掛けたモスクワ警察の幹部2名を解任したのです。こんなことは20年にわたるプーチン治下で初めてです

昨年6月年金支給開始年齢を5年「あと倒し」する法律に署名して以来、プーチンへの信頼、支持はがた落ちです。そしてロシアでは人口の43%を34歳以下の若年層が占める中(なんでこんなに多くなるかと言うと、それは男性の平均寿命が67歳強しかないからです)、若年層の政治離れは甚だしく、米国仕込みのラップ音楽にうだつを上げています。彼らは刹那的で、上層部の腐敗には厳しい意見を持っています。

ゴルノフの件での成功に味を占めた市民は、次々と要求をエスカレートさせ、他の不当逮捕者の釈放も勝ち取っています。他の都市でも、市民が様々の問題で当局に抗議の声を上げ、譲歩を勝ち取るようになっています。これは騒擾状態ではありませんが、このような「権利意識の高揚」、そして「政府の不正、汚職への厳しい糾弾」がメディアを先頭に進むのは、35年前の「グラースノスチ」運動を想起させます。但し12日の無届出集会では警官隊が出動して500名強を拘束しており、これから情勢がどう展開するかはわかりません。下手に弾圧して失敗すると、1991年8月クーデター失敗で共産党が解体されたような、無政府状態になってしまいます。

(ちなみに、下の「遥かなる大地」というのは、私が筆名で出した大河小説で、まさにペレストロイカ、ソ連崩壊前後の社会の状況を、ロシア人の主人公の目から眺めたものです。ロシア語でも出版されています)

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