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世界はこう変わる

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2018年12月13日

ロシア、国際政治のルーレットに再びチップを積み増す

(これは11月28日、まぐまぐ社から発行したメルマガ「文明の万華鏡」の一部の原稿です)

 トランプ等、世界政治が混迷を深める中、ロシアが世界中の紛争地域に様々な形での関与を高めつつある。それだけの経済力はないだろうと思うのだが、議会、世論による監視の力が無いのをいいことに、傭兵企業を駆使して(あるいは傭兵企業の利得行動に引きずられて)中央アフリカ共和国、リビア、イェーメン等で頭をもたげ始めた。

アフガニスタンについては、この2年ほどタリバンとのわたりをつけようとしていたが、その努力が実って11月9日にはモスクワに、タリバン(肝心のアフガニスタン政府の代表は参加せず。多分米国の圧力を受けたのであろう)、中国、パキスタン、ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、イラン等12の代表を集めて(米国大使館員が傍聴)、アフガニスタン和平促進のための会議を開いた。アフガニスタンでの米国の政策が、関与強化なのか、撤退なのか、軍とトランプの立場が相異して宙に浮いているのを突いたものである。

 中央アフリカでは内戦状態が続いているが、国連が調停の動きを弱めた間隙を縫って、ロシアが政府側の要請を受けたかっこうで、軍事顧問、そして傭兵会社Vagner等の傭兵1500名余(推計)を送り込んでいる。Vagner社は、ロシアの軍には敵視(嫉視)されているのだが、社長のプリゴージンはプーチンに近く、私利をからめて世界の各地に出ている。中央アフリカでは、ウラン利権を狙っているとされる。

  そして傭兵ではないが、ベラルーシに対してロシアは、基地設置を認めるよう、この数年露骨な圧力をかけ続けている。NATOの増強に対抗しようというのである。しかしルカシェンコ大統領は2014年、ロシアが東ウクライナに武力進出したのを見て、わが身の安全を真剣に心配し始めた。彼は以前からロシアの神経を逆なでするような言動を繰り返してきたからである。彼は基地設置への許可を求めるロシアの圧力をかわすとともに、米国やEUにすり寄っている。

 さらにロシアはこの11月、国際刑事機構Interpolの総裁ポスト(実権はドイツ人のユルゲン・シュトック事務局長にある)奪取に乗り出した。中国人の孟宏偉総裁が可笑しなことに中国政府に逮捕されたため、その後任になろうとしたのである。Interpolに申請すれば、自国の反政府分子を海外で逮捕できるので、便利なのだが、この動きは米英が介入して韓国人のKim Jong-yangを当選させた。

 ロシアの傭兵企業はVagnerの他にもあるのだが、ここで兵士になるのはネオナチ系の極右の青年が多い。彼らは、東ウクライナにもかつて義勇兵として出て行った経験がある。そして面白いのは(ロシア政府には全然面白くないだろうが)、彼らはロシア国内で極右分子の軍事訓練を行うに至っている。こうなると、彼らはロシア国内で極右テロを起こすかもしれず、ロシア連邦保安庁FSBは最近、そうした「企業」の一つE.N.O.T.社の要員を全国で拘束している。

極右団体は、セルビアでも青年達への軍事訓練を施す施設を開いたのだが、セルビア政府は8月、Zlatiborのキャンプを閉鎖させている。そして更に面白いのは(危険なのは)、米国の極右、トランプの元戦略問題補佐官のスティーブ・バノンが、西欧ばかりか、ロシアの極右ともわたりをつけていることだ。彼は諸方で資金集めもしており、世界極右化運動でも始めようというのだろうか。

これの関連で、この2,3日、CNNが米欧で高まる極右の反ユダヤ主義を批判するキャンペーンを始めていることが注目される。本当にいやな時代になってきた。
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