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世界はこう変わる

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2008年4月14日

08年3月のモスクワ(3)―-市民の暮らしぶりは

モスクワ市民の生活寸描。

○地下鉄の初乗り(原則、一律料金)は19ルーブルだった。大体80円だ。
昔はコインを入れると入れる仕組みだったが、今では紙製のICカードを買って機械にかざすと入れる。日本と同じだ。

○モスクワ大学の学生食堂は、外来者からは大体700円くらいは取る。日本の学食に比べても随分割高だ。もっとも学生に対してはその3分の1くらいで売っている。
キャンパスの中には民間が委託経営していると思われるしゃれた食堂もあって、その一隅ではインターネット用のPCがパチンコのようにずらりと壁にはめられて並んでいた。

○タクシーの運転手に聞いたのだが、まあいわゆる個人タクシーで、自分の車を使い、大きな会社の傘の下で注文を取っていた。毎月20~22日働き、一日100~150ドル相当の稼ぎがあるのだが、そのうち50ドル相当はガソリンに消えるのだそうだ。
ソ連時代は何をしていたのかと聞いたら、高等専門学校を卒業して航空機部品を作る工場で働いていたのだそうだ。アナログ時代の部品なので、今ではもう時代遅れになってしまったそうだ。

○モスクワ市民の財産保全の仕方が変わってきた。以前は不動産で財産を保全していたようだが、住宅価格の値上がりでそれも難しくなってきた。
だから今では中産階級は車に投資して財産を保全しようとしている。自動車は3万ドル以上するものでないと財産保全の手段として使いにくい。大体1年で売り抜けているのだそうだ。

贅沢は限りなく
郊外に室内スキー場ができた。数年前まで東京の木場のあたりにあった、あの大規模なものを凌ぐほどの威容である。またその近くにはモスクワ州が、まるで007の映画に出てくるような、ヘリポートを屋上に備えた建物を持つ一大コンプレックスを建設した。
そこを通り過ぎながら運転手が言う。「ロシアじゃ、誰も採算性のことなんて考えないからな」。
僕が「社会主義だからな」というと彼は、「いや、彼らはもう共産主義を建設したつもりなのだ」と言った。よくわかっている。

○現在、プーチンやメドベジェフの人気が高いのは、プーチンの下で給料が上がったからだ。
2月8日、プーチンは国家評議会での演説で、「ロシアの勤労者の3人に1人は政府予算で給料をもらっている」という、西側では考えられない数字を明らかにして見せた。
要するにロシアでは、生活面で「お上」に依存するところ大なのだ。だから、2005年の1月に年金生活者への交通費などの優遇措置が削減されるように見えたとき、全国の老人達が勝手に立ち上がって(いや、野党などに金をもらって集会に参加した者もいたでしょうが)デモや集会を始めたのだ。

フランスの歴史をひもとくと、1830年、王政復古による保守化とインフレなどの生活条件の悪化に対してパリ市民が立ち上がり、7月革命を成就している。もっとも騒ぎは経済の実権を握っていた独占資本家達によってすぐ収拾され、彼らが権力を簒奪してしまったのだが。
ロシアでも同じようなことは起こりえる。騒動が起きても、15名くらいと言われる独占資本家達が軍隊、警察を使って事態を収拾するだろう。ソ連時代から一つの分野に大企業が1つか2つかしかなかったロシアでは、独占資本主義を築きやすいのだ。

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