ロシアで僕が言ったこと 世界は先に行っちゃってるぞ
2月から3月にかけてモスクワにいた時、随分方々の大学で講演をやった。そういったところで、学生たちに強調したのは次のようなこと。ロシア人と話していて、大方の人がわかっていないことに気が付く。そしてわかっていないことが、彼らを西側との無用の対立に追いやる。ロシア人の多くは、依然として19世紀の領土を取り合う時代に生きているのだ。
1)「国家」なるものは次第に相対的になり、溶融しつつある。「国家」単位で力比べを争うのは、子どもじみたことだ。
2)国際経済では、どの国がどの国より偉い、強いということではなく、共生が基本になっている。
3)西側では、ロシアは国営企業の全てを直ちに民営化しないとロシア経済は救われない、というようなことを言う者がいるが、それは無理である。それだけの資金がない上に、民営化された企業をちゃんと運営できるマネジャーがほとんどいない。
4)他方、経済運営を政府に丸投げするのも愚かである。政府、官僚は企業を運営するのに向いていない。政府と企業は、人材プールを異にするべきである。
5)同様に、「全知万能の西側の経済理論」に経済問題の解決を期待するのも愚かである。この複雑な現実を仕切れるだけの理論はこの世にない。
6)ロシアでは製造業面でのベンチャー立ち上げは難しかったが、アウト・ソーシング(少量の注文でも引き受けるところがある)やプラットフォームの利用で、ロシアでも製造業面でのベンチャー立ち上げは可能になっている。
7)先進国経済においては、これまでの「所有」からプラットフォーム、リースなど、非所有をキーワードにした生産形態が広がりつつある。
8)日本の家電製品は目立たなくなっているが、部品や機械の生産・輸出では、日本は相変わらず優位を維持している。
9)現在はAIや遺伝子工学等、一大技術革新の時代である。ロシアにもチャンスがある。他方今回の波に乗り遅れると、ロシアは先進国世界から200年は遅れることになるだろう。
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