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2015年4月17日

南シナ海とマラッカ海峡は日米より中国に重要

最近、中国がASEAN諸国や台湾との領土問題を起こしている「南シナ海を埋め立て」て島を作り、基地を置く構えまで示しているのが問題になっている。米国は「アジア重視」とか「この中国の行いは許せることではない」と口では言うのだが、南シナ海はどんどん埋め立てられていく。米海軍は黙ってこの海域に潜水艦を遊弋させるような、対抗措置を取っているのだろうか?
 
しかし日本に向かう船舶が南シナ海を通れなくなっても、天が落ちるわけではない。マラッカ海峡や南シナ海の安全が不確かになって困るのは、むしろ中国の方だ、というのが、「軍事研究」3月号に出た文谷数重氏の論文である。プロらしく、非常に精細な議論を展開しているのだが、素人的に概括するとこういうことになる。

「南シナ海やマラッカ海峡に日本の死活はかかっていない。インドネシアのロンボク海峡等を迂回すれば(幅、水深、許容通航量ともマラッカ海峡より良い。しかも水深等の航海用情報、灯台等も整っている。海賊もない。インドネシア一国に属し、海賊が逃げ込める場所がないため)、日数(マラッカ海峡通過の場合、中東・日本の片道が460時間。ロンボク経由だと520時間に)も費用(原油輸送では、輸送コストが5%から5、1%に上昇。これは燃料代しか計算していない? 用船料は計算していない?)も大して変わらない。

むしろ中国華南にとって南シナ海は唯一の通商路で、ここに自衛隊が対潜訓練の名目で潜水艦を送り、海上臨検訓練で哨戒機を送ったりすれば、大きな抑止力となる。そうすれば、中国は南シナ海防護で体力を消耗する。」

本当にそれほど困らないかどうかは、船会社の話しを聞いてみないとわからないが、日本が困らなくとも、南シナ海で中国に一方的に押しこめられているASEAN諸国を助ける必要はある。ベトナムのカムラン湾に日米の艦船が頻繁に寄港するとか、ASEAN諸国の海上保安能力増強を助けるなどである。また米国も「アジア重視」を言うのなら、南シナ海に潜水艦を常置して欲しい。中国は潜水艦探知・対潜戦闘能力に欠けるので、中国の専横を抑止する効果を持つからである。

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