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世界はこう変わる

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2013年9月13日

ロシアはプロテスタントの国になるのか

ロシアで、ルター派の新教が静かに広がっているということを、Voice of Americaが報じている。初耳だ。

それによると、ロシアはロシア正教会の国で(と言っても、信者の半分は聖書を開いたことがない)、法務省によれば正教教区は14616が登録されている、これに比べて、プロテスタントは4409、カトリックは234しかないのだが、プロテスタントのグループ(congregation)は登録されていないものが2倍はあるので、合計15000はあるだろう、プロテスタントはシベリアで特に強い、ハバロフスクでは日曜になると、プロテスタントの教会は満員になる、のだそうだ。

僕も、ロシアで葬式に出たことが何度もあるが、アメリカやデンマークでプロテスタント教会の神父が薄謝でも誠心誠意、遺族のことを気遣ってやってくれるのを見たのに比べると、モスクワの正教会の神父は故人の生涯を勉強していないどころか、名前さえ覚えていないケースがあった。そんなことから、ロシアでプロテスタントが勢力を伸ばしているのかもしれない。ルターから500年も後れてやってきた宗教改革、とでも言おうか。もっとも中世ロシアにもルターと同じように、教会の権威を否定し、個人が神に直接向き合うよう説いたアヴァークムという神父がいたのだが、火刑にあっている。

ロシア正教会をめぐってはもうひとつ、ベラルーシで面白いことが起きている。保守的、権威主義的な言動で何かと話題をよぶルカシェンコ大統領が何を思ったか、いきなりロシア正教会批判を公言したのだ。「ロシア正教会の儀式は、言葉が古くてわからない(教会スラブ語と言って、日本で言えば源氏物語程度に現代から離れている)。時間がかかりすぎる上に、座る椅子もない(カトリック、プロテスタントの教会ではベンチがある)」と。

折しもその時ウクライナのキエフでは、ロシアがキリスト教国になって1025周年の祝いが開かれ、ロシア、ウクライナ、モルドヴァなどの大統領が集まったのだが、ロシア正教の国ベラルーシの大統領ルカシェンコは行かなかった。ルカシェンコは、その言い訳として、こういうことを言ったのである。

だが、ロシアとはいろいろ関係が微妙なベラルーシであるので、ルカシェンコ大統領の行動は現下の対ロシア関係の何かを反映しているのだろう。しかし、もしルカシェンコが「ベラルーシ国教会」のようなものを作って、モスクワのロシア正教会総主教キリルの支配下から脱することまで念頭に置いているのなら、これは西欧中世の叙任権闘争や、英国ヘンリー8世による「国教会」の設立とカトリック教会の資産没収になぞらえて考えたくなってくる。

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