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世界はこう変わる

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2007年10月 2日

プーチン大統領は首相に?

ロシアでは10月1日、与党「統一」の党大会があった。
そこに党員でもないのに招待されたプーチン大統領は、12月総選挙(すべて比例代表制で行われる)で「統一」候補者リストのトップ(要するに「統一」の顔として選挙民の関心を引くのだ)に座ることを引き受けた。党員にはならないのだがそれでもリストに載れるように、その場で党規約が改正されてしまったのだからすごい。

カザフスタンでは5月に憲法改正が行われて、選挙はすべて比例代表で行うこととなり、8月に選挙をしたところが与党一党が議席を独占することになった。ロシアの「統一」も、プーチン大統領人気に支えられて随分票を伸ばすだろう(口の悪い共産党のイリューヒン議員は、「これは『統一』のズボンがずり落ちるのを抑えようとする試みだ」と論評した)が、議席独占とまでは行かないだろう。共産党が根強い支持を維持しているからだ。

次にプーチン大統領は会場から、 「来年3月の大統領選後は『統一』の多数議席を足場に、首相として政府を率いてください」という提案を受け、「それは現実的な可能性のある提案だが、12月2日の選挙で「統一」が圧倒的な勝利を収めること、立派な大統領が選ばれることが条件になる」と述べた。

いろいろなことが事前に仕組まれていることの多いロシアでは(日本もそうですが)、これは重い言葉だ。だから西側のマスコミも、この発言を大きく報道している。ズプコフ首相が明らかに大統領選を意識してテレビの前でパーフォーマンスを始めたことを勘案すると、ズプコフ大統領、プーチン首相+「統一」党首という組み合わせが実現するのかもしれない

で、なにやらソ連共産党時代のにおいがしてくる。もしかすると「統一」だけが議席を持つ体制。共産党書記長が最高実力者で、大統領に相当する最高会議幹部会議長が形式上の国家元首。そうなるとソ連時代に里帰りすることになる。そうなることをロシア国民の大半が支持しているのだから、究極の民主主義だ。こちらがとやかく言うことではない。でもそれで本当にロシア国民のためになるのかどうか。

ソ連は1985年、石油価格が大暴落したことで崩壊への引き金を引かれた。今回も米国のサブプライム問題が世界経済停滞、石油価格暴落への引き金を引くかもしれない。そしてロシア経済が悪化した時、国民の生活がまた悪化した時、すべての責を負わされるのは、すべての権力を手中にした「統一」なのだ。かつてのソ連共産党が、西側に立ち遅れたことのすべての責任を負わされて没落したのと同様に。統治をすぐ取って代わることのできる野党を持たない政体は、与党が崩れると大混乱を起こす。権力も領土も腹八分目がいいですよ、ロシアの皆さん。


来年5月7日はロシアの新大統領の就任式。7月には洞爺湖畔でG8サミットが行われる。ロシアの新大統領はそこでG8首脳に初の顔見世となるのだろうか。1986年だったか、東京でサミットがあった時、フランスは社会党のミッテランが大統領、共和党のシラクが首相というねじれた政権で、両者とも外交権を持っていると言って譲らず、遂には両者とも同じ飛行機でサミットに乗り込むということがあった(機内食で二人とも腹をこわし、会議どころではなかった・・・)。今回はロシアが、大統領、首相双方の首脳会談参加を強硬に主張して、主催者の日本を困らせることになるかもしれない。そうしたら、「来なくてもいいんだよ」と言いますかね?

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