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世界はこう変わる

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2013年4月10日

経済成長 堂々巡りの時代

産業革命以来、工業国のGDPはそれこそ数100倍に伸びてきたのだが、もう息切れ、限界という感じだ。生産力が大きくなり過ぎ、需要が追いつかないというバランス欠如が一つある。

そして、足りない需要と投資を補おうとして財政を拡大したり、金融を緩和したり、モノで儲からないならカネでカネを増やせとばかりに投機が増えるから、モノに比べてカネの量が増えすぎる。投機の泡は膨らんでは破裂し、そのたびに銀行融資がマヒして企業の足を引っ張る。つまり金融不況が起きるーーそういうモノとカネの間のバランスの欠如がもう一つ。

これで先進工業国の経済は、伸びては下がる堂々巡りの時代に入った。別に新しいことではない。1929年の大恐慌がそうだったし、1974年のオイル・ショック後米国に現出したスタグフレーションがそうだった。いくつもの技術革新が重なる時代が来ないと、この堂々巡りから脱出するのは難しいだろう。

中所得国の罠とかいう言葉で一括りにされているが、BRICSの伸び悩みも最近では顕著だ。こちらはこちらで、また別の意味の堂々巡りに入ったのだと思う。歴史が遺した、特異な社会・経済構造が、これ以上の発展を阻害している。
ロシア、中国の場合、それは国営企業が経済の中心で、成長への活力を欠いていることがある。党・政府の役人が企業を自ら運営し、特定の企業にいつくことなく、党・政府・企業がごたまぜになった出世の階段をのぼっていく。彼らにとっては、企業の長期的な成長はどうでもいいこと、2,3年間の自分の「任期」をそれなりの成績で通過できれば、それでいいのだ。

インドはロシア、中国と逆で、「所有権・権利の過剰」とでも呼ぶべき社会構造が経済成長を妨げている。借家人の権利が強すぎるため、アパートは崩れるまで建て替えは不可能であり、鉄道・ハイウェー建設、工場建設では土地の買収で手を焼く。経済発展においては、実は資本家の権利さえ保護されていればいいのだが(英国の例が典型だ)、インドでは社会全体を権利と所有権のセメントで固めてしまった。

こうしてインドでは成長が頭打ちになっているし、ロシア・中国でも成長率が落ちている。ロシアの場合、それが1917年のロシア革命のような騒ぎになるのか、1992年のような自由化が行われてこれも大混乱を生むのか、いずれにしても堂々巡りだ。

産業革命以降、歴史は一直線に発展、進歩で動いてきたと、われわれは思い込んできたが、実態はそうではない。そして今は、ますますそうではない。堂々巡りとなると、どこもかしこも対立と抗争含みになっていくことだろう。

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