ユーロ圏は貿易黒字 なのにユーロはなぜ下がる
ユーロが下がるのは当然のように思われているが、ユーロ圏全体を一つの国として見ると、外部に対して貿易黒字(今年の4月分だけで75億ユーロの黒字)を示しているのだ。
それだけを見るなら、ユーロが下がるのはおかしいということになる。だが各国別の数字を見ると、ユーロが下がる理由もわかってくるのだ。つまるところ、ユーロの価値は、ドイツ経済への信認で維持されているところ大、ところが今のギリシャ、スペインなどの状況ではドイツの支援負担が法外に膨らみかねず、そうなるとドイツ経済への信認もがたついてくる―ーーこういうことなのだろう。
そこで面白い数字をお目にかける。ユーロ圏主要国の貿易収支だ。黒字国はドイツ、オランダ、アイルランドと僅かなことがわかる。
ドイツ(4月) +144億ユーロ
オランダ(1月) +41億
アイルランド(3月) +35.4億
フランス(4月) -58億
スペイン(4月) -32.5億
ギリシャ(1月) -23.4億
ポルトガル(3月) -8.4億
オーストリア(1月) -7.2億
ルクセンブルク(2月) -5億
フィンランド(2月) -4億
イタリア(4月) -2.02億 (出所 trading economics)
(なお英国はユーロ圏ではないが、5月44.2億ポンドの貿易赤字を示している)
もし黒字国だけで固まったら、ユーロのレートは果てしなく上がって、ドイツは輸出ができなくなる。納豆ではないが、通貨も適当に発酵(下がって)していた方が、固い豆よりも食いつきがいいということだ。
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