2019年11月 1日
シリアのISIS問題のウラ
(これは10月23日に発行したメルマガ「文明の万華鏡」の一部です)
ウクライナと並ぶ伏魔殿はシリア(香港もそうだが)。こんがらがった糸のすべてをほどくことはできないので、ISISのことだけ触れておく。
ISISについては次の可能性があって、単に西側文明の敵、中近東の異分子という扱いだけでは割り切れない。
1)少なくともISISの一部は、イラク戦争で割を食った同国のスンニ派の連中を吸収している。
そしてそれを、イスラエルを助けるためにイランを抑えようとしている米国が支援したという報道がある。
2)米国はISISを、シリアのイラン勢力を追い出すために使った、つまりシリアへの米軍派遣(イスラエルのためにイラン勢力を駆逐することが目的)を正当化するために、ISISを使った、という見方がある。そして米軍はISISを脱出した分子を再訓練して、シリア南部で政府軍と戦わせようとしているとの報道もあった。
3)トランプはシリアの米軍を無理やり撤退させて、それまでの同盟相手のクルド勢力を見捨てたとして、非難を浴びている。しかし彼のやったことは、間接的にイスラエルへの支援を弱めるとともに、米軍・CIAの既得権益を引っ繰り返すものでもあった。それは一概には非難されるべきことではあるまい。
そしてその後トランプは、シリアでおそらくクルド勢力が支配している油田地帯、そして南部のヨルダンとの国境地帯には300名ずつ程度の米軍兵力を残すと述べている。
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