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世界はこう変わる

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2012年10月25日

ウラジオストックで尖閣、竹島を語る

10月15日から18日までウラジオストックに行ってきた。米国の財団が「アジアの安全保障」というテーマの下にロシア、米国、中国、韓国、豪州の専門家を集めて行ったシンポジウムに呼ばれたものだ。

竹島、尖閣をめぐる情勢が緊迫化した直後だけに、話しがアジアに1975年のCSCEのような集団安全保障フォーラムを作り、領土問題の現状固定を規定するというようなことになると、日本にとって話がややこしくなることを危惧していたが、アメリカの主宰者は「フォーラムはアジアに既に沢山ある」として機構作りの話しは避け、武力不行使、及び米国を除外しないこと、との原則だけ認めれば十分との態度を示した。また中国、韓国、ロシアの参加者も個別の領土問題についての論争は避け、紛争拡大、武力不行使の基本点だけ確認できれば十分、との立場で共通していた。従って自分も、竹島、尖閣諸島問題については現状維持、そして歴史的な議論よりも法的な議論に依拠するべきであり、国際司法裁判所に委ねることも考えるべきである旨述べるに止めておいた。

なお、本件シンポジウムはウラジオストックで開かれたにもかかわらず、ロシアが話題になることは少なく、場内の雰囲気は「中国vs.その他」ということに集約できた。

ウラジオストックのロシア人代表は、「ウラジオストックでやっているのに、ロシアが話題にならないとは。ロシアにはもう役割がないのだろうか?」と発言する始末であった。小生が「ロシア極東が安定し、繁栄した存在としてこの地域に存在していること自体が、この地域のバランスを維持する上で重要である。そのために日本は、ロシア極東の開発に参加する用意があり、米国、韓国、中国などにも同じことを呼びかけたい」と述べると、ロシア側は歓迎した。

以下、他にいくつか目ぼしいところだけ書いておく。

1. 中国の専門家は尖閣について対日批判的な言辞は避けつつ、現状の維持が重要である旨を強調していた。

2. ロシアの参加者は次のように述べた。「ロシアは米国、中国、EU、いずれの陣営にもつかない。米中間のバランサーであるべく努める。日本とは和解して、ドイツとの間のような関係を結びたい」

3.自分は、「エネルギーと安全保障」のセッションでプレゼンを求められていたので、次の諸点を述べた。
①ロシア極東部は東アジア地域のエネルギー供給を独占しているわけではないので、エネルギーだけでロシアの戦略を組み立てようと思っても無理だ。経済の多様化が必要だ。
②東アジアは自由貿易が保証されている限り、皆繁栄できる。
③安定し繁栄したロシア極東が存在していること、それ自体が重要であり、それを日本は他の国々とともに助ける用意がある。

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