日本はGDPでドイツに抜き返される?
僕は30年前、西ドイツに外交官として赴任した。ドイツの外交官などと話してみると、経済面では日本への風あたりがずいぶん強くて、「日本は異質だ。低賃金と集団主義で会社のために滅私奉公で働くから、輸出ばかり強くなって。もう少し緩めに働いてもらいたい」と言わんばかりだった(いや、本当にそう言った)。今から思ってみれば、その頃西ドイツは日本にGDPで抜かれて間もない頃だったのだろう。今日本人が中国に対して感じているのと同じようなことを感じていた、というわけだ。
その頃から日本のGDPが西ドイツより大きいことを、僕は当然視していたのだが(生活の質は向こうの方がダンチに良かった)、今これだけ日本の経済成長が止まってみると、ひょっとしてドイツにGDPで抜き返されることもあるのじゃないかとふと思って、数字を調べてみた。その結果は、「その可能性、十分あり」と出た。
ドイツのGDPは2010年IMF推定で3兆3060億ドル相当。2010年、ドイツは輸出が好調で、GDPは実質3.5%伸びたと推定されている。
2010年日本のGDPは5兆3908億ドルだったと推定されている。
さて、ドイツが実質3.5%の伸びを15年続けるとどうなるかというと(ドイツの成長力の大半は輸出から来るので、現在の欧州経済情勢を見ていると、3.5%の伸びが15年一貫して続くことはあり得ないにしても)2025年には5兆5387億ドルになっている。つまり日本のGDPが伸びない場合には、2025年頃ドイツが日本を抜き返す可能性が数字の上ではあるということだ。
でも強いものづくりの伝統に乗り、マネーゲームを嫌う(ドイッチェバンクなどはこの頃そうでもないようだが)ドイツの経済が強いというのは、同じ体質の日本にとってはいいことだ。切磋琢磨でいこう。それにドイツの生活水準は、住宅をはじめ、日本よりまだまだ高い。ドイツに学ぼう。
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