2019年4月 6日
EUのカネで生きる、欧州の反EU諸政党
(これは、3月27日に発行したメルマガ「文明の万華鏡」の冒頭からの抜粋です)
欧州ではBrexitはさることながら、5月の欧州議会選がけっこう大きな要素だろうと思います。ストラスブール等に機能を分散して存在する欧州議会、あるいはEU議会は以前はただのお飾りでしたが、1999年発効のアムステルダム条約では、環境分野等を中心に、政策、予算の決定で欧州委員会と同等の権限が与えられ、ここでの勢力図が各加盟国にとっても重要になりつつあります。自分の国で保守系が与党なのに、欧州議会で社会主義系が与党だと、いろいろ政策にねじれが出てくるわけです。
現在の欧州議会では保守系が最大会派ですが、5月の選挙の結果、移民受け入れ反対を中心に「極右」系がどのくらい票を伸ばすか、そしてそのことが各加盟国の内政にどのくらい跳ね返るかが焦点の一つになっています。面白いことに、欧州各国の「極右」政党の多くは反EUでもあるのですが(特に英国の英国独立党などは本国議会より欧州議会に多数の議員を送っています)、欧州議会で議席を有して会派を形成すると、議員一名月7000ユーロの歳費に加えて、手厚い「活動費」をもらえるのです。
こうした政党は、EUが解体したら自分達が路頭に迷うのに、「反EU」を国内で叫んで喝采を取り、欧州議会に出てきて活動費を得ているわけです。欧州議会の議員は750名。不条理としか言いようがありません。
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