2016年9月 9日
世界のメルトダウンその6 国境のメルト・ダウン
国境のメルト・ダウン――欧州への難民問題
国家が力を失えば、国境は守れない。その中世のような状況が二〇一五年の現代、EUという最先進地域で演じられたから、世界中が驚いた。
シリアやアフガニスタンの人々が戦争に怯え、マフィア組織の甘言に乗って大金を支払い、数百万人も欧州になだれ込んだのである。その昔フン族に追い立てられたゲルマン人がローマ帝国に乱入したのもかくありなん、国境などあってなきが如く大量にトルコ、バルカン諸国に入り込み、野を歩き、原を走り、ビザもないのに汽車に乗って、憧れの地ドイツ(難民への手当てが厚い)に百万人もがなだれこんだ。粗末なボートに鈴なりになって海を越える難民たち、地元官憲に追われながら野原をまろびつ転びつ走っていく年配の難民たち。大量の難民が押しかけてくると、まさかこれを撃ち殺すわけにはいかないので、国境は本当に無力な存在になる。暴動が国境を超えるようなものだ。
近い将来、北朝鮮や中国から一人二十万円分ほどを業者に払い、業者の仕立てた粗末な船に何百人も乗り合って、日本の港にやってきたら、どうする。これを受け入れないと、世界は日本を非人道的だと言って非難するだろう。さりとて入国を認めても、言葉もできない難民にろくな仕事があるはずもなく、結局は最初の一年、二年、日本語を学習する間、我々の税金で養わざるを得ない。
このように、近代に成立した主権国家の概念は今、メルト・ダウンの様相を示している。世界は溶融し始めたのである。
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