5月の情勢
(これは、5月25日発行したメルマガ「文明の万華鏡」第121号の冒頭です。月ごとの情勢のまとめとして役に立つのでアップしておきます)
(2022年5月25日)
Japan and World Trends
これは第121号。つまり発足後11年目の第1号ということになります。
コロナが下火になったし、夏の参院選に向けて岸田政権を盛り上げるには最適(目立つわりにはリスクが小さい)ということで、日本の首脳外交が急に活発になってきました。大丈夫だと思いますが、あまり行け行けどんどんでやっていると、ずっこけかねない箇所がいくつかあります。
一つは、ウクライナで西側に疲労感を表明する論調が出てきたこと。一方、「米国は、単なるウクライナ防衛を超えて、ウクライナを使ってロシアをたたく路線に転換しようとしているが、これは危険だ。ウクライナ支援の目的、落としどころを明確にし、ウクライナ・ロシア間を調停する努力も払え」という声も、他ならぬ米国内部で頻繁に聞かれるようになっています。
もう一つは台湾。台湾の戦略的な重要性については日本で意識されるところが少なく、これまで関心を喚起するのに腐心してきたところですが、この頃では「台湾有事」への関心が度を越えています。当面、「台湾有事」の可能性が後退しているということを、本文の方で書きました。
もう一つは日韓米関係。韓国の大統領が代わったことで、日韓関係も対決から協調へトーンを変えないといけなくなります。韓国新政権は、米国オバマ政権と緊密な人脈を持っている人たちです。韓国系米国人は、日系人よりはるかに多く、米国政権に入り込んでいます。日韓関係は文在寅時代のように、対立を続けることはできなくなるでしょう。安倍政権は半導体材料の対韓供給を絞る挙に出ましたが、今般バイデン来日で発足した「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」は、日米韓等加盟国間のサプライ・チェーンの円滑運用をうたっており、そのようなことはできなくなるでしょう。韓国が米国を使って日本に圧力をかけてくる場面は増えるでしょう。
今月の目次は次のとおりです。
ウクライナ戦争とロシアの興亡
(ロシア経済の底力もどこまで)
(伸縮を繰り返すロシアの範囲)
(一帯一路は一体どうする?)
(ユーラシアで重みを失うロシア)
(ロシアの分解と核兵器)
カザフスタンはどこへ行く?
台湾が中国に接近する日
高千穂に天孫は降臨したか
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