メルマガ 文明の万華鏡 第24号を発行しました
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メルマガ(有料)「文明の万華鏡」第24号を「まぐまぐ」社から発行しました。
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最近のウクライナ情勢と当面の見通し
ウクライナ情勢で知られていない諸点
太平洋戦争は日中の代理戦争? 満州の利権をめぐる日米中の角逐と、中国による米国の対日参戦工作
今月の随筆
化石化する日本のロボット
イエローストーン火山大爆発?
このうち、「太平洋戦争は日中の代理戦争? 満州の利権をめぐる日米中の角逐と、中国による米国の対日参戦工作」から冒頭を転載します。
この頃は、「アメリカにとってはアジアで一番大事な国は日本ではなく中国なのだ、だからアメリカは頼りにならない」という人が多いが、実はアメリカは終始一貫して、「日本が日本だから好き」なのではなく、「日本がソ連や共産中国を抑えるのに便利な位置にあるから大事」にしてきただけなのだ。だが、だからと言って「アメリカが日本を一番好きでないなら日米安保はもうやめだ」というのもナイーブな話し、同盟は結婚とは違う。そのことは僕の近著「米中ロシア――虚像に怯えるな」でも散々説明したので、ここでは繰り返さない。要するに、ペリーが黒船でやってきた時も、アメリカは日本そのものに関心を持っていたのではなく、中国との貿易の中継点、マッコウクジラ狩りの捕鯨船の寄港地としての日本に価値を見出していただけなのだ。
そしてペリー以来、太平洋戦争に至る日米関係も、中国、特に満州での利権をめぐって展開する。そしてこのダイナミックな関係は、学校での教育では全然教えてくれない。自分の国の来し方をちゃんと教えてくれない教育は変えないと。
ここでは、いくつか最近調べた面白い事実をならべておく。まず日ロ戦争。戦費に窮した日本政府は外国での国債発行を志し、高橋是清を英米に派遣する。高橋は米国でロスチャイルド系のKuhn&Loeb商会(当時米国随一の投資銀行)のJacob Schiffに紹介されて、8200万ポンド分(今で言えば3500億円程度か)の日本国債を米国で消化する。そしてこの時、当時「鉄道王」と称されていたユダヤ系資本家エドワード・ハリマンも日本の戦時公債を1000万円分(今で言えば400億円程度か)引き受けている。
ここまでなら、話しは単なる金融取引なのだが、ハリマンには戦後への魂胆があった。日ロ戦争が米国のセオドア・ルーズベルト大統領の仲介で停戦となり、米国東岸のポーツマスで和平交渉が開かれている時、このハリマンは東京に乗り込んだ。ルーズベルトはモルガン財閥による鉄道独占を打破する運動をした人物だし、その家系はオランダからやってきたユダヤ系であったので(大統領就任式での宣誓で、聖書を用いなかったことが知られている)、ハリマンとは連携プレーをしていたかもしれない。そして1億円(今で言えば4000億円程度か)の財政援助を持ちかけて、日本が手に入れた南満州鉄道の共同経営を申し入れたのである。桂首相はハリマンに会ってこれを飲み、桂・ハリマン協定に仮署名までしたのだが、ハリマンの帰国直後ポーツマスから帰ってきた小村寿太郎全権代表は、「日本国民の血で購った利権を、カネで米国人に譲渡することはまかりならぬ。ロシアから賠償も取れていないのに加えてそのようなことをすれば、日本国民の反発はひどいものになるだろう」と述べて、この合意を反故にしてしまう。
小村はこの頃、ロシアから賠償金を取れなかったためか、随分感情的だったようで、ハリマン提案への敵意は並大抵ではない。推測するに、ポーツマスやアメリカの諸地でディナーなどがあった際、ハリマンに紹介され、満州の利権第一のその態度に、嫌悪感でも持っていたのだろうか。この時日本がハリマンの提案を呑んでいれば、後の太平洋戦争はなかったかもしれない。小村外相の家は、ポーツマスでの和平条約でロシアから賠償金を取れなかったことで、暴徒に焼き討ちされてしまうので、ハリマンの提案に同意していても、それ以上ひどい目に会うこともなかっただろうに。
いずれにしても「満州の利権」は、Jacob Shiffを初め、日本の戦時国債を購入した米国の資本家達の頭の中には当初からあったものかもしれない。ルーズベルト大統領もその想いを代表して日ロ停戦を斡旋したものかもしれず、ポーツマス講和後数年して日本への関心は薄れ、むしろ敵対的言辞をもらすようになっていたというのも、満州の利権への想いを日本に裏切られたことによるものかもしれない。
さて、ハリマンは恨みを呑んだまま1909年には死去するのだが、満州での利権への想いはその後も綿々と受け継がれる。例えば中国在勤のストレートなる外交官はーーーーーーーーーー
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