ロシア旬報第2号 外交 2019年10月から2020年1月
(旧ソ連圏には計13年勤務したが、今でもロシア語、英語のニュース、論評を毎日読んで、自分でデータバンクを作っている。それをベースに四半期ごとに若手の専門家の参加を得て勉強会を開いている。そのデータバンクを旬報として、簡単なコメントつきで公開することにした。あと何年できるかわからないが、お役に立てば幸い。日付は新しい順に並べてあるが、乱れているところもある。情報源として、IとかKとかの略号があるが、これはイズベスチヤとコメルサント等の略。何もないものはwww.centrasia.ruあるいは日経の記事である)
この期間に顕著であったことは、次の通り。
1.相手が攻めてこなければ効かない、プーチンの「柔道外交」
これまでロシアは僅かな兵力を繰り出すだけで、ウクライナ、シリア等での「レジーム・チェンジ」をはかる米国の鼻を明かす、費用対効果比絶大な外交を行ってきた。ウクライナではクリミアを併合、中東では「アラブにもイスラエルにもイランにも頼りにされる唯一の大国」としてのイメージを作り上げたのである。米国が攻めてくる力を使って、僅かの力でそれを投げ飛ばす、プーチン得意の「巴投げ外交」である。
しかしこれも、米国が「もうやめた」と言って場外に出てしまえば使えない。経済力に乏しく、軍事力にも限りのあるロシアは、外国の情勢を自分の力で動かすことはできない。シリア等から米国が去れば、紛争のしわ寄せは全て自分に降ってくる。シリアではアサド政府軍がトルコ軍との戦闘を開始しており、ロシアはシリアとトルコの板挟みになっている。内戦の続くリビアでは、一方のハフタル将軍の肩を持ってはみたものの、リビアをめぐる大国間のねじれた関係の中で手を焼いている。
そしてロシアは、ソ連時代の大国外交を回復するのに熱心で、10月31日にはソチで第1回アフリカ+ロシア首脳会議を行った。これには54カ国から43首脳が出席する盛況となったが、中国、日本等とは違って金目の話しは一切出せず、空疎な「ソ連時代からの友情」を強調するレトリックに終始した。アフリカに出せるものは傭兵と原子炉と兵器だけでは、ロシア外交にも限界がある。
2.米国との関係改善・制裁緩和
「プーチン外交の著しい成果」は、他ならぬプーチン大統領の1月15日、教書演説では殆ど触れられていない。2014年のクリミア併合ではプーチンに喝采を送った国民も、西側から制裁を食らって実質可処分所得が毎年減少していく中で、「いつまでも外国のことをやってないで、自分たちの暮らしを何とかしてくれ」という気分を高めているからだろう。そして、経済を近代化するには先端技術、資金面で大きな阻害となっている「制裁」を撤廃してもらうことが不可欠だ。
だからロシアは、トランプを怒らせるようなことはやらない。1月3日、米軍がイランのスレイマニ司令官を殺害した時も、ロシアは驚くべきことに、公式の声明は出していない。そして、2021年には失効する米国との新START条約(長距離ミサイル等に搭載する核弾頭の数を米ロ双方、1550以下に制限)の更新のための交渉をする用意があることを何度となく表明している。
3.5月9日の戦勝75周年記念日にかけるロシア
トランプ大統領は、なぜか対ロシア宥和外交を望んでおり、それを民主党等に止められてきたのだが、弾劾裁判で勝利した今は、大々的に進めることができるだろう。それを見越してか、プーチン大統領は5月9日モスクワでの「戦勝75周年記念日」にトランプを招待している。
同時にプーチンは1月23日イスラエルでの、アウシュヴィッツ解放75周年にちなんでの世界ホロコーストフォーラムに出席した際、「現下の世界での諸問題を話し合うために、国連安保理常任理事国5カ国(P5)の首脳による会議」を開くことを提案したのだ。5月9日のモスクワでの式典には、既にフランスのマクロン大統領が出席を表明している。従って5月9日には米ロ首脳会談を行い、その足で二人揃って英仏中の首脳が待つ会議場に現れ、ロシアの国際社会への完全復帰、そしてP5として世界を仕切っていく意図を表明することができるだろう。
4.第2次大戦をめぐる歴史を書き換えるなかれ
P5支配体制を夢見るロシアにとって、耳障りなのはポーランドが中心になって立てる「雑音」だ。今のポーランド政府は、「ロシアの脅威」を言い立てることで米国の注意を引こうとしている。おそらく自身の強権主義的な政策がEU諸国の反感をかっているので、米国を引き付けて自分の立場を守ろうとしているのだろう。
で、ロシアをコケにする試みのなかでポーランドが言い出したのが、「ソ連は「連合国」の一員のような顔をしているが、実は当初はナチ・ドイツの側に立っていて、手を組んでポーランドを分割しようとしたのだ」、ということ。つまりナチ・ドイツの拡張政策が欧州全体の緊張を高めていた1939年8月23日、ソ連は突然、ドイツとの間に不可侵条約(モロトフ・リッベントロップ協定と呼ばれる)を結んで、抜け駆けの挙に出た。直後の9月1日ドイツがポーランドに侵攻して第2次世界大戦が幕を開けると、同17日にソ連は東方からポーランドに攻め入ったのだ。不可侵条約には、両国でポーランドを分割するという秘密合意が含まれていたのである。
ここを今のポーランド政府はついて、「ソ連は連合国P5の一員であるような顔をする資格はない」と言いたいのである。それではP5首脳会議は成り立たないので、ロシアはポーランドに「お前の言うことはでたらめだ。戦争をめぐる歴史を変えるな」と居丈高に言っている。
同じような屁理屈をロシアは、日本に対しても言っている。それは、「北方4島は第2次大戦でソ連領となったのであり、その歴史を今更変えるな」ということである。ラヴロフ外相が言っている、「敗戦国日本は、国連憲章を援用して事態を変える権利はない」というのも同じ伝だ。今回もおそらく中国と組んで、「ソ連は侵略者としての日本を満州から撃退した」というような「正しい歴史の読み方」を押し付けてくるだろう。
5.旧ソ連復活の方向
プーチンは、「ソ連崩壊は20世紀最大の悲劇」と言いながらも、これを復活する意図は否定してきた。しかし、最近のロシア外交は明らかに旧ソ連復活への野望を露にし始めた。まずベラルーシにはこの2年程圧力をかけ続けている。それはロシアの軍事基地を置かせろという要求に始まり、これをベラルーシがはねのけると今度は、1999年に結んだ「ベラルーシ・ロシア連合国家創設条約」を引っ張り出して、「統合性の強化」をはかろうとしている。海千山千のルカシェンコ大統領は、このロシアの圧力を巧みに操り、ロシアから輸入する割安の原油、天然ガスの量を維持しようとして(自分で消費する以上の量を割安で輸入しては、それを国内で精製してEUに高値で売り付け、大きな収入を得ている)、昨年12月には結論の出るはずだった「統合強化」の合意をうやむやのままにしている。
ロシアの勢いが顕著だったのはもう一つ、モルドヴァである。ここは11月の政変で、ロシア寄りのドドン大統領が欧州寄りの連立相手を放逐し、自分の権力を強化した。それに乗ってロシアは、首都空港の利権を買収するなど、進出の勢いを強めている。
もう一つ、ロシアの攻勢が顕著だったのはウズベキスタンに対してである。同国に対してロシアは、旧ソ連版のEUであるところのユーラシア経済連合(今のところ加盟国はベラルーシとカザフスタン、キルギスのみ)に加盟するよう、露骨に圧力をかけている。ウズベキスタンは、これに入ってロシア等への関税率を下げると国内産業がやられてしまうとして、逡巡している。
因みにプーチンは12月20日にサンクト・ペテルブルクで、旧ソ連(NIS)諸国の非公式首脳会議を主宰。これは恐らくユーラシア経済連合をNISに漠然と拡大することを意図したものであった可能性があるが、ここにダシとして使うつもりだったウズベキスタンのミルジヨエフ大統領は唯一欠席している。18日からの訪日にかこつけての欠席だろうが、12月20日に会議をやることは10月11日アシハバードでのNIS首脳会議の場で加盟国に伝えられていたので、欠席はかなり意図的なものであったように見える。これは、日本がロシアの目論見に水を差した例として面白い。
6.対中関係--潮目の変わり時?
この数年、悪化する米ロ関係に反比例して中ロ関係は準同盟関係に発展していたが、今は潮目の変わり時だろう。中ロは、互いの対米関係が悪い時にはくっついて身を守るよすがとするのだが、対米関係が良くなると、互いを捨てて顧みない。1月15日に米中は貿易についての第一段階の合意を発表し、トランプの対中姿勢は緩和している。他方米ロも、トランプが弾劾裁判で勝利したことで、改善に向かって勢いを強めるだろう。中ロとも、相手の必要性が減退している。そしてロシアでは、中国の経済が停滞色を強めていることを指摘する報道がちらほら出始めている。
12月2日には、シベリア・中国の天然ガス・パイプライン「シベリアの力」が完成した。これを画期的なできごとと評価する向きもいるが、もしかするとこれは中ロの離間を強める方向に作用するかもしれない。と言うのは、中国が急いでいない中で、ガスプロムはパイプライン建設費550億ドルをすべて負担。ところが、稼働した時点で、天然ガスの価格は近年になく低水準に落ちているのだ。そして中国の東北地方では、末端のガス・パイプラインは整っておらず、加えて現在の不況なので、ガスプロムは長期にわたって建設費を回収できないだろう。このパイプライン「シベリアの力」はロシアにとって、シベリアの怨みになりかねない。
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(以下はデータ・バンクから)
★20、1、23 The Times of Israel
エルサレムで第5回世界ホロコースト・フォーラム、アウシュヴィツ解放75周年行事。
Moshe Kantor(欧州ユダヤ会議議長で、ホロコースト・フォーラムをほとんど主宰)等、ロシア出身の金持ちが多く出資。
→プーチン、特別に扱われる。約50の世界首脳(英国チャールズ王子初めて。マクロン、ペンス)を尻目に。
・ポーランドのDudaはスピーチさせてもらえないというので、フォーラムを欠席。リトアニアも。
・ここでプーチンは国連安保理P5の首脳会議をぶちあげた。
★20、1、22 Iarex.ru,Akhmet Burkhanov
ロシアは最低賃金水準を憲法に明記する等、ユーラシアで生活水準の高い国として定着する。それはNIS諸国にソフト・パワーとして機能するだろう。
(天然ガス価格が最低に下がっている時に?)
★20、1、11 The Bell
スレイマニは2015年2度訪ロして、プーチンにアサドは救えることを説得。ロシアの援軍送付の前。
・スレイマニ暗殺にプーチン自身は発言せず。しかし7日にはシリアを訪問。
★20、1、10 Bloomberg
プーチン、最近、「第2次大戦の正しい歴史」にご執心。
西側の反ロ主義の一環で、モロトフ・リッベントロップ協定を中心に、「ソ連=ドイツとの同盟国」のイメージが作られつつあるため。昨年欧州議会は、ソ連はナチと同等の害を欧州に及ぼしたという決議を採択。
・→ロシアはポーランドをまず、ロシア・西欧にとっての共通の敵役に仕立てようとしている。最近のポーランドの振る舞い、1938年チェコスロヴァキアの領土分割に加わったこと等。
・最近プーチンは、戦前ドイツへのポーランド大使が、ユダヤ人のアフリカへの送還に諸手をあげて賛成したことを批判したが、これもその一環。ユダヤ、イスラエルと提携しようとしている。
・1月23日、イスラエルでのアウシュヴィツ赤軍による解放75周年記念にプーチンは赴く。ポーランドのDuda大統領はスピーチの機会を与えられず、赴かない。
・アジアでは、抗日における中共との提携に重点。
★20、1、9 M.T.
中近東でロシアは、シリアのIdlib、リビアをめぐって、トルコと食い違い。
(シリアを巡ってイランとも食い違っているのでは?)
★20、1、8 WSJ
プーチン、軍派遣以後2度目のシリア訪問。スレイマニ暗殺直後。
★20、1、6 Jamestown
スレイマニはプーチンと会談したこともあり、ロシアとの関係で重要人物。
★20、1、3 Ferghana
モスクワ市の出稼ぎのPatentは2020年1月から7%あがって、毎月5350ルーブルに。19年は5000だった。18年は4500。
18年、これによる市の歳入175億ルーブル。
→ますます多くの出稼ぎがヤミに。
★20、1、1 TASS
プーチンの外交日程。
1、15に年次教書。
1、8にトルコ訪問。
1月末、イスラエル訪問。アウシュヴィツ記念日。23日にパレスチナ訪問かも。
5、9 戦勝記念日
6、3ー6 SPIEF
7、21ー23 ピーテルでSCO首脳会議とBRICS首脳会議。
9、2ー5 ウラジオ東方経済フォーラム
11、11ー12 マレーシアでAPEC首脳会議。
11、21ー22 G20(リヤド)
★19、12、24 AP
プーチン、軍幹部との集会でスピーチ。欧州議会が1939年のモロトフ・リッベントロップ協定(これで1939年、ドイツは西から、ソ連は東からポーランド、バルトを割譲した)を非難する決議を採択したことを受けて、反論。
「欧州諸国がドイツと不可侵条約を結んだからだ」
★19、12、20 Kremlin.ru
プーチン、モスクワでNISのinformal summit(NIS首脳会議)を開催。第2次大戦前、(ソ連は悪いことをしていなかったことを示す)展示会に首脳たちを案内。
訪日中のウズベク、ミルジヨエフ大統領は欠席(代理の名前もない)。カザフスタンからはナザルバエフが出席している。
欠席はミルジヨエフだけ。ベルディムハメドフも出席。
★19、12、19 F.T.
現在、33、4万の外国人留学生在籍。その数は2010年以来倍以上。
ドイツ、フランスと並んで、数で6位になろうとしている。
しかし、旧ソ連諸国からの留学生が多い。それでも、アフリカ、アジアからの留学生増えている。
現在、アフリカから1、7万で、8年前の6700人より多い。うち4000名がロシア政府の奨学金。
学費が平均6000ドルで欧州より安いし、その割には語学等、授業の水準は高い。
2025年には71万人にするのが政府の目標。
★19、12、18 Carnegie,Trenin
世界は米中の対立軸。すべての国は、米中との関係をどうするかを外交の主要な問題とする。
★19、12、12 C.S.M.
ドーピングについてのWADAの姿勢、以前ほどロシア国内の反発を受けなくなっており、なにも対策をとらない当局のやり方への不満表明もみられる。
バイアスロンで4回金メダルのAlexander Tikhonovも、「この件でWADAを支持する。スポーツ当局、誰も罰せられておらず、同じポストにいるので、この件は続くだろう」
★19、12、5 Jamestown
ロシアは、ウクライナ制裁以来、バルト諸国の港使用を削減し、自身の港を増強している。NIS諸国へも、バルトの港を使わないよう、圧力。
→中国がバルトの港に色気。代表団も来ている。しかしNATOがどう反応するか。
・2019年上半期、バルト三国の港を通じるロシアの交通は12、4%減少した。対前年同期比。そしてフィンランド湾のロシアの港を通じる交通は、その減少分以上に増加した。
・これによってバルト諸国は、領土通過料だけで2億ドル(2018年)、鉄道使用料、保険等をあわせると5億ドル分が少なくなっていく。以前はもっと大きかった。
・フィンランド湾の港はPrimorskが16、7%増の5200万トン、Ust-Lugaが7、3%増の8800万トン、Vysotskが5、3%増の1600万トン、ピーテルが1、7%増の5000万トン。Vyborgだけ35%減少して100万トン。カリーニングラードは変わらない。
・これによって、リガ港の貿易量は1ー10月で8、7%、タリンは8、3%減。
★◇19、11、24 Centrasia
アフガニスタン国家安全保障問題補佐官ハムドゥラ・Mokhib、モスクワのNIS国家安全保障会議リーダー会議に出席。パトルシェフ主宰。
前在米大使で西側寄りとみられていたモヒブの参加は喜びの驚き。
・モヒブは、ISIS後退中であること、彼らはパキスタン、タジキスタン、ウズベク、中国等外国人であり、パキスタンで訓練を受けていることから、対策は国際的協力を必要としていることを紹介。
★19、11、21 N.G.
ロシアは、アフガニスタンのタリバンとかカルザイとの関係を開拓してきたが、なににもならず、夏頃に方向を変えてきたもよう。相手はアフガニスタン政府で、チャンネルはパトルシェフとアフガニスタン第2の要人、国家安全保障会議のMokhib。
・Mokhibは博士号を持ち、「新アフガン愛国主義者」グループを率いる。これは力の機関の若手を糾合。プラグマチックで、ロシアとの関係を拒まない。
・両国政府の接近は、新任のアフガニスタン大使Latif Bakhandの功績でもある。
・1回目の会合は、夏にウファの国際会議の場で。2回目が11月20日モスクワで。
★19、11、20 Kremlin.ru
第11回、VTB Capital Russia Calling! プーチン出席。
"focused on building bridges over the waves of de-globalisation"
(おやおや。グローバリゼーションをあんなに嫌っていたのに))
★19、11、19 European Council on Foreign Affairs(何だこれ)、Kadri Liik
若手外交官はこれまでと違う。西側へのうらみがない世代。そして西側によくでていて、悪い印象を持っていない。
しかし、民主主義等イデオロギーは信じない。他方プーチンにも入れ込んでいるわけではない。クリミア併合にも諸手をあげての賛成ではない。プラグマチックで、自分の良心が中心(?)
★19、11、18 Foreign Policy
Rajan Menon、"Don't believe the hype. Russia i losing in the Middle East-and around the World. Putin's apparent victories in spreading Russian influence are mirages, some of which have come at a great cost."
★19,11,16
BRICS、米をけん制
14日までブラジリアで首脳会議。保護主義を懸念する首脳宣言。親米で中国警戒論を公言したこともあるボルソナロ氏。
★19、11、15 The Bell
MH17撃墜事件調査チーム、電話盗聴結果を公表。当時、ドネツの軍事指揮権をめぐって大混乱が存在していたことを示す。ショイグが乗り込んで野戦司令官を除去することとか、FSB、GRUがそれぞれの子分を指揮していたり。
→ショイグやボルトニコフの責任を問うことになるかもしれない。
★19、11、14 Jamestown
11日のR.G.インタビュー、Patrushev冷戦時代の大国競合観を披瀝。これは国家安全保障会議強化ののろしなのだ。情報分析の統合を考えている。13日SC通信によれば、彼は「情報・分析システム」構築の状況について、各省庁間会合を主催している。
★19、11、14 R.G.パトルシェフ
長いThesis。新しい点はあまりない。総花的。ただし、米国中心の新国連を作る動きに対抗して、平等な主権国から成る組織を作ろうという提案は目新しい(?)。
・これからの世界のシナリオについては1極支配とか2極支配とか地域化とかいろいろ言われているが、現実はそんなに割り切れるものではない。
・それでも、米国による支配強化について述べよう。
・G7(米国、EU、日本を明記)は次第に下落し、中国(購買力平価では米国のGDPを上回る)、ブラジル、インド、南アフリカの地位が高まっている。
・ロシアは2010年代国力を飛躍的に増大させ、かつての影響力を取り戻した。
・米国はABM、INF条約からの脱退で、戦略環境を大きく不安定かさせている。(と言って、対抗策には言及していない)
・米国は、強引に世界経済体制を変えようとしている。制裁は恣意的。
・技術革新の時代。人的資源の重要性が高まっている。
・米国はIT技術の波及を恣意的にコントロールしている。そしてIT機器にMalwareを忍ばせている。
・中東で米国は「管理された混乱」、「ハイブリッド戦争」の手法を真っ先に用いた。中央アジアでは、生物兵器を開発している。
・ロシアは経済力、国防力を高めないといけない。外交はプラグマチックに全方位的に。そしてユーラシア連合、CSTO、SCO、BRICSを重視。
★19、11、14 NYT Trenin
ロシアは世界の諸方で存在感。アフガニスタンで和平交渉に加わっているように見えるし、アフリカ首脳会議もやった。ヴェネズエラまで。
地位を取り戻したかに見えるが、戦略があるわけではない。経済力以上に跳んでいる。ウクライナでは安全保障を、シリアではメンツを、他の場所ではカネを求めて。
ロシアのエリートもカネ稼ぎばかりで、国のことを考える余裕はない。
とは言え、ロシアのような大きな存在は、米中対決において、役割を果たせるだろう。
★19、11、12 Russian International Affairs Council
Andrey Kortunov、グローバリゼーションの歴史を冷静に総括。産業革命以来という説もあるが、この30年の現象と定義して議論。ロシア人の希望が実現したかどうか。
(西側諸国にとっては、グローバリゼーションという言葉は意味がないのだが。ロシア人、アラブ人、中央アジア人にとっては意味がある)
★19、11、7 Russian International Affairs Council,Natalia Romashkina
サイバーを戦略兵器として用いることを制限する条約等を提唱。ICT Arms Control。
1)軍施設等へのサイバー攻撃禁止
2)攻撃的なICT能力放棄
3)ICT兵力管理
4)サイバー紛争を裁く国際基準
5)核兵器におけるICTの有害な使用を禁止する条約
★19、11、7 Vz.ru
WADA議長に、ポーランドのスポーツ相、Vitold Banka(男)、選出。20年1月に就任。現在のKreig Ridiはすでに6年。Bankaはロシアのスポーツ相も支持。
★19、11、4 Jamestown
ソ連崩壊でNunn-Lugar Biological Threat Reduction Programの下で、生物兵器専門家流出を防ぐため、グルジア、アゼルバイジャン、ウクライナ、カザフスタン、ウズベキスタンに通称Lugar Laboratoriesが作られている。ロシアはこれに懸念を強め、昨年10月に生物・化学兵器防御隊のIgor Kirrilov中将が公言。プーチンも「本当かどうかわからないが、米国は人種別に効き方が違う薬品を開発中」。
・→11月10日に予定されるラヴロフのアルメニア訪問で、両国は、アルメニアの研究所へのロシア厚生省・国防省関係者の立ち入りを認める協定に署名する予定。
これまでの交渉は、右Kirrilov中将が率いる。
★19、11、4 Jamestown,Andrew McGregor
モザンビク。与党FRELIMO、諜報機関SISE、2013ー14年、議会の承認なしに外国銀行から3の国営企業のために20億ドルの融資を受けた。それはロシアのVTB、Credit Suisse等。VTBは今、年末までに5億ドル以上の返済を求めている。
→外国はモザンビクに新規融資を控えている。
・他方、北部のテロ勢力に対処するため、諸国の傭兵企業が入り込み、その中でWagnerが優勢。
Erik Princeのドバイ拠点のLancaster Six Group(L6G)とか、EebenBarlowの南アフリカのSpecialized Tasks, Training, Equipment and Protection International(STTEP)。石油・ガス利権をねらう。
・8月20日、ビジネス・フォーラムでロシアはモザンビクへの債権の95%を放棄(矛盾)。ガスプロム銀行、ロスネフチは石油・ガス開発に関心。
・9月には、ロシアの兵力が北部に到着との報道。Wagnerか。これはGRU部隊で、諜報基地、海軍基地開設準備だとする報道もある。ロシア大使館は、軍人の到着を否定。
・4月4日、モザンビクとロシアは、ロシア海軍艦船の寄港での便宜供与、軍事協力についての合意に署名。
・Nacalaはアフリカ南部で最深の港。ロシアは関心があるだろう。
・南アフリカは11月、ロシア、中国と初めての海軍共同演習を行う予定。
★19、11、1 Meduza
Andrey Kortunovにインタビュー。
ロシア外交の優勢が伝えられるが、実態はそうでもないことを詳細に説明。
★19、11
在米大使アントノフ、5月75回戦勝記念日にトランプにきてほしい、米ソはドイツ戦をともに戦ったのだし、4月25日には、エルベ川での両軍邂逅記念式も開かれる。戦後の歴史を書き換え、殺人者を恩人と描く試みには賛成できない、と発言。
(つまりトランプが5月にいけば、「戦後の歴史を書き換えるな」と、プーチンとともに世界に呼びかけたことにされてしまう)
★19、10、31 Carnegie Moscow,Andrey Maslov
アフリカ首脳会議、43カ国首脳が54カ国から。首脳の数で上回ったのは中国のみ。
・ロシアは長期援助プランは示さず、事前の200億ドル債務帳消しの話もでず。ロシアが債務帳消しをしたのは、2006ー07年、G8の一国として。
・プーチンのAdviser,Anton Kobyakovは、8000億ルーブル相当の合意がなされたと言うが、内容不明。
・ロシアの対アフリカ輸出は2018年170億ドルで、ほとんどがエネルギー資源以外。
ロシアの2009ー2018年の輸出は1000億ドルほどで、うち68%はアルジェリアの258億ドル、エジプトの375億ドルによって占められている。
その80%は兵器(25%)、穀物(23%)、石油製品(17%)、鉄鋼(8%)。
・ロシア・アフリカ首脳会議は3年ごとに開くことで合意。
★19、10、31 Intellinews.com
プーチン、ハンガリーを30日非公式訪問。この5年、毎年行っている。年金協定を結んだ他、原油輸出増強。ルークオイルとトランスネフチ、ハンガリーはMOL Group。Druzhba石油パイプラインで。同時にトランスネフチは、汚染原油でハンガリーの製油所に補償を約束。
・オルバンは、トルコを通じるトルコ流石油パイプラインが一刻も早くブルガリアとセルビアでの工事を終えてハンガリーにとどくことを望む。
・両国貿易は昨年70億ドルで30%増。
・ロシアはハンガリーの原油需要の60%、天然ガスの50%を供給。
・ロシアはPaks原発にさらに2基を建設して、合計2400メガワットとする。125億ユーロの費用のうち、100億ユーロをロシアが融資。
・ハンガリーは最近、NATOの大使たちがウクライナのハンガリー少数民族について採択した共同宣言にVeto。
15万人いる。
★19、10、29 AP
キューバのDiaz-Canel大統領、来訪。プーチン歓迎。
(具体的成果不明)
★19、10、28 Xinhua
VTsIOMが8月22日、1600名を電話世論調査。
45%が、「ロシアは中国ともっとも友好的な関係を持っている」。30%がベラルーシ、21%がカザフスタン。
もっとも関係が悪いのは米国と英国。
それでも、米国を軍事的脅威と見る者は、2018年10月の67%から、53%に低下。
★19,10,28
インフラ関連事業への投資をサウジとUAEの政府系投資ファンドが約束。
★19、10、28 Jamestown
23ー24日、ソチでアフリカ諸国と首脳会議。The Russia-Africa Summit and Economic Forum。
プーチンは、ロシアはCivilized competitionを呼びかける、それは「他の」西側諸国と違うところだ、とスピーチ。
・ロシアは2017年、200億ドルのソ連時代の債権を放棄。
・ロシアのアフリカへの復帰は、2008年ソマリア沖海賊作戦から。
・2019年は20の諸国に40億ドルの兵器を売却。エチオピアへのPantsir-S1ミサイルとか。
・カスペルスキーが南アフリカで活動している等、ロシアのIT企業も安価を売り物に進出。
GLONASSもお得。
・ロシアの建設企業も安価。鉄道や港湾施設。
・原発も売りたい。
・しかしロシアには、「なんで今アフリカなのか」を説明できる戦略がない。関係はエジプト、アルジェリア、モロッコ、南アフリカにとどまり、他との貿易関係は無に等しい。
・→会議の宣言は抽象的でロマンチックな文言にとどまっている。
(ロシアがそのうちアフリカにも抜かれる日が来る?)
★19、10、25 Www.rt.com
ロシア、シリアに300名の武装警察を送る。チェチェンから。既にいるものを補強。
★19、10、25 M.T.
ソチでのアフリカ諸国との首脳会議で、グラジエフ・ユーラシア経済連合統合担当大臣は、「IMFの政策で、ソ連崩壊以来1兆ドルが流出した。民族共和国からも同額が流出した。アフリカのみなさんもご注意ください」
・そしてプーチンはエチオピアの1、63億ドルのソ連時代の債務を帳消しにすると表明。アフリカに対して合計200億ドルのソ連時代の債務を帳消しにしたことになる。
★19、10、23 James
プーチンのサウジ、UAE等訪問、資金を得る点では大した成果なし。
何十億ドルのオーダーを期待していたが、数億ドルのレベルでとどまった。
アラムコと両国のFundがRosnanoからNovomet(油井ポンプ生産)の株31%を取得。サウジのBasic Industries Company(SABIC)がガスプロム系ESN Groupがアムルスクに建設中のメタノル工場に資本参加すること。総計2億ドルだが、サウジ分は不明。
UAEではルークオイルがUAEの国営Gashaガス田に5%の資本参加。
★19,10,24
シリアのクルド勢力問題 ロシア、和平主導へ
クルド人武装勢力を国境付近から撤収させ、撤収後の国境沿いに「安全地帯」を設け、ロシアとトルコが共同でパトロール。
★19,10,16 日経
プーチン大統領が12年ぶりにサウジを公式訪問。約300社の企業トップによる会議。両国の政府系投資ファンドが6億ドルを投じて航空機のリース会社を設立。サウジの石油化学企業がロシア極東のメタノール工場に投資。
◯OPECとロシアなど非加盟国で構成する「OPECプラス」が長期的に協力を深める憲章。
★19、10、15 Jamestown
モザンビク。大統領の訪ロで強化。天然ガス埋蔵量、世界で14位。その地域でイスラム・テロ、内戦状態。
→ロシアに軍事支援を求めた。
・ポルトガルのNuno Felix(軍事専門家)ツイートによると、9月8日、ロシアの正規軍人が空港に到着。
10月2日、The Timesはロシアの傭兵と兵器が到着と報道。約200名と攻撃用ヘリ3機と搭乗員。
・2015年、ロシアとモザンビクは技術・軍事協力協定署名。
・2018年8月、両国国防省は、海軍面での協力を強化する覚書に調印。海軍基地設置をにおわせるもの。同時に公安同士でGSOMIAを締結。
・2010年、ENIが世界で14位のガス鉱床をみつけて一時ブーム。しかし西側企業はイスラム・テロをおそれて、水上LNG化設備と西側専門家を持ち込み、現地雇用にほとんど貢献せず。
・2017年10月、Cabo Delgado地方でイスラム反乱が起きて、資源地帯、麻痺。→ロシアの軍事顧問派遣を慫慂。
・2019年8月22日、Filipe Nyusi大統領は訪ロしてプーチンと会談。債務の90%を免除してくれたことに感謝するとともに、ロシア企業の投資を慫慂。
ウシャコフによると、ロスネフチ、UAZ、Kamaz,Inter-RAO、Rosgeologia,Gazprombank等が関心
★19、10、15 Jamestown,Paul Goble
Aleksandr Zheleninは、「ロシアはアフリカに対して一貫した戦略を持っていない。結局のところ、オリガークたちが国内の利権を吸い尽くし、アフリカに新天地を求めているに過ぎない。原材料をとる代わりに、兵器を売りつける」と言う。
しかし、ロシアがしていることを見ると、周到なPR等、一貫した戦略が感じられる。
★19、10、15 国際情勢評議会、Andrey Kortunov
ロシアはついこの前まで、invisible, marginal playerだったが、中東ではメジャーになった。ロシアの関与なしでは、ほとんどの問題を解決できない。これは、オバマがイラク戦争にこりて、中東に介入しない路線をとったからだ。その力の真空にロシアは、Law Costで入り込んだ。
★19、10、13 Centrasia
アフリカ、コンゴ民主共和国で、東部のGomaから首都キンシャサに大統領移動を手伝っていた(大統領自身は乗っていない。彼の運転手)輸送機An-72墜落。パイロットのVladimir Sadovnichii死亡。
彼は2011年タジキスタンで、アフガニスタンとの国境を勝手に越境して密輸していた疑いで有罪判決を受け、その後特赦されていた。
★19、10、13 Centrasia
プーチンはヴァルダイ・クラブをソチで開催。今回はヨルダン国王、アリエフ、トカエフ、フィリピンのドテルテを招待。
世界を欧米とアジアに分け、アジアの発展を称揚。ロシアをその一員に位置づける。
(ロシアのテレビではずいぶん宣伝されていて、あたかも国内問題から目を逸らさせるためのように見える)
★19、10、9 James
ロシアはノルウェーの島にチェチェンの傭兵を時々送り込んでいる可能性あり。
9月27日にノルウェーのAldriMerr軍事情報紙が、Svalbard(スピッツベルゲン)島と本土で、私服のロシア傭兵が目撃されたと報道してロシアの反発。
しかし新新聞は、2016年以来、チェチェンのSpetsnazが活動している、彼らはCadyrov Squadと呼ばれる、と報道。
彼らはロシアのGudermesにあるSpetsnaz大学で訓練された。
・Tsentr2019軍事演習や2016年Ice Camp Barneoで行われた演習では、北極地域では師団、旅団より小さな規模での行動が主で、後者ではチェチェンのSpetsnazの参加が確認されている。
★19、10、9 M.T. Mark Galeotti
最近、プーチンはヴァルダイでマクロンやトランプをほめたり、自分は国際秩序を壊そうとしているのではないと言ったり、ウクライナについてロシアのテレビで、「隣人をいつもネガティブな見方で見るものではない」と言ったり、外交姿勢の軟化を示唆するものがある。
しかし・・・
★19、10、8 Jamestown
コーカサスでのロシアの一番のねらいはアゼルバイジャン(石油だろう)。グルジアはそのための経路、アルメニアは道具である。
しかしパシニャン政権の誕生で、アルメニアとロシアの関係が微妙になり、アゼルバイジャンではロシアがアルメニアを犠牲にしてナゴルノを調停してくれるのではないか、との期待が見られる。
★19、10、8 Jamestown
リビアでWagnerはハフタル支援を強化しているもよう。成果乏しい。
★19、10、6 I.
英国は2016年、「出所の怪しい資産を差し押さえる法律」を採択。
まずカザフスタンの企業家、Maksat Arip血祭り。
ロシアのBoris Mints、6億ドルの資産を差し押さえられる。
アブラモヴィチ、差し押さえはされていないが、投資査証更新できず。そのためイスラエル旅券を入手して、英国に入国。
★19、10、6 Www.rt.com
スペインの元外相Ana Palacio、「ロシアは世界の安定化勢力、Broker、米国はDisruptorになった。ウクライナ以来、西側ではやっているロシア脅威論を見直すべし」
★19、10、4 K.P.
ロシアの記者Yuliya Yuzik、かつてイランに数年勤務。今回イランからの招待で赴き、ホテルで逮捕され、5日裁判の予定。イスラエル諜報機関と協力の疑い。
イランに赴く時、こうなることもあるだろうと予想して、娘に種々言付けをしていった。
★19、10、3 Vzlyad
カラガノフ、Dmitry Suslovとともに新たな論文"The New Understanding and Ways to Strengthen Multilateral Strategic Stability"を発表。西側が軍事的優位を失い(?)、エリートの質が低下し、核戦争の可能性が高まっている今、ロシアの使命は世界の安全保障を維持すること、とする。
同時に、「平和時に民主主義がどうして危険なのか? どうして我々は外部の敵をいつも必要としているのか?」という問いかけもしている。
(つまりカラガノフは空威張りしているのではなく、ロシアの保守派に前向きなcauseを与えようとしているようだ)
★19、10、3 Jamestown
このころ、ロシアの東方外交、東方への転換がひとしきり話題に。ヴァルダイをソチでやり、「東方」の首脳を何人か呼んだことが契機。
これまで2006年にプーチンが極東・シベリア開発を強化したり、メドベジェフが就任初めての外遊を2008年カザフスタン、中国から始めた等、「東方外交」はintermittentに強化されているが、Gabuevが指摘するように、成果はあまりない。
★19、9、30 Jamestown
8月27ー28日、リャザンで第4回、ロシア・エジプト共同空挺軍演習。ベラルーシも初めて加わる。今回、これまでで最大規模。
・2016年10月が初回。エジプトで。
・今回、1000名の兵士(650名がロシア、150名がエジプト、250名がベラルーシ)。
★19、9、25 James
ロシアは、sectoral agreementを結び、アプハジアの軍隊近代化に着手。
★19、9、25 Www.rt.com
グレフ、INTOSAIの場で、「IMFは機能していない。廃止されるべし」
★19、9、23 James
演習Tsentr
・初めて、ロシアのTu-22M3、中国のXian H-6長距離爆撃機が共同演習。テロリスト集団を爆撃。
・インド、パキスタンから小規模兵力が参加したのも初めて。
・◇太平洋艦隊の潜水艦が巡航ミサイル発射をテスト。
・サウジの石油施設襲撃後、ロシアはサウジにS-400を提示しているが、これはDroneには効かない。
・シリアのKhemimim空軍基地、Tartus海軍基地は、次第にロシアの負担に。イランの協力がないと守れない。
(米ロ関係)
★19、12、31 Www.rt.com
バイデンのロシア関係アドバイザーはMichael Carpenter。Penn Biden Centre所属。国防省でロシア担当の次官補。副大統領顧問を経歴。
もともと外交官。
(RTはロシアを知らない、と酷評)
★19、12、23 TASS
ロシア、ウクライナ、天然ガス合意成立(署名まだ)。契約を5年延長。10年再延長可能。
ロシアが輸送料を減らす一方、ウクライナは価格で譲歩した模様。しかし価格は公表されていない。
いずれにしても、これで北流を年内に稼働させる必要はなくなった。北流は来年10月でもいい。
(ロシアは、北流稼働を計算して、ウクライナとの合意はなくてもいいと思っていたのだろう。ところが米国による北流制裁で予定が狂い、合意を迫られたのだろう)
★19,12,21
ボーイング製の宇宙船「スターライナー」が軌道を外れ、ISSへの接続ができなくなった。宇宙船のエンジン点火のタイミングが遅れた。「飛行士が乗っていれば避けられた」。NASAは新型機の開発をボーイングとスペースXに委託。スペースXの「クルードラゴン」は今年3月に無人飛行に成功したが、4月の地上試験中に爆発事故が発生。
★19、12、21 K
トランプは2020年度軍事予算(もう始まっている)に署名したが、その中に北流、トルコ流に参与する企業への制裁が入っている。その企業の米国査証や金銭取引を禁じることができる。但し、これから1ヶ月の猶予期間。
トルコ流の海底部分はすでに完成しているので、エルドアンは騒いで見せたが、意味はない。S-400を購入したので、F-35開発からは外すという箇所も、ブラッフ。
北流はあと1ヶ月で完成するが、2隻の船を出してパイプライン敷設工事をしているスイスのAllseas社は作業を停止した。
★19、12、19 Daily Beast
DASKA、上院外交委員会通過。反対したのはすべて共和党員で、Jim Risch委員長、Rand Paul、Johnny Isacson,John Barrasso,Ron Johnsonの5名。
・次は上院総会での投票。予定なし。
政府は、DASKAに反対。反論を送りつけている。「これを採択すると、ロシア制裁をめぐるNATO内の分裂は止められなくなる。ロシアで操業する米国の銀行も被害を受ける」
・しかしこの法案は超党派で、共和党ではLindsey Grahamが共同提案者。
★19、12、18 Russia Beyond
米国カロライナ、フロリダ沖で、ロシアの観測船Viktor Leonov視認。
これは、ソナー用「水紋」を収集する船で、武器はほとんど積んでいない。
前回は2015年にやってきて、情報を集めていた。情報をUp-to-dateにするべく、やってきたのだろう。
・ソ連時代のProject 864に属する船で、6隻あるが、近く交代の予定。
★19、12、18 RFE
米上院外交委、DASKAを再び18日に審議予定。採択すれば、上下院総会での投票へ。大統領の署名が必要。
★19、12、18 Kremlin.ru
プーチン年次記者会見。Dimitri Simes出ていて、トランプ弾劾について質問。
★19、12、17 Reuters
米議会上下院が審議していて、近く合体されるだろう3の法案においては、政府が新START失効の影響を十分吟味していないのではないかとの疑念が表明されていて、新START延長への圧力となっている。
★19、12、17 M.T.
Levadaが11、21ー27日、50の地方で1616名を世論調査。対米感情好転。
2018年5月には米国を好意的にみる者は20%のみ。今回は47%。
否定的にみる者は69%から41%に低下。
・EUについても同様。2018年5月には好意的にみる者は28%のみ。今回52%。否定的にみる者は55%が34%に低下。
★19、12、13 NYT
上院、新ロシア大使John J.Sullivanを承認。法曹(しかし政府関係)出身で、ブラウン大卒。コロンビア大卒。法律事務所Mayer Brown LLPに勤務し、米イラク・経済関係諮問委員会、2009年まで商務省次官、ブッシュ下の国防省でdeputy general counsel。
・2017年5月以来、国務省deputy secretary。18年4月ティラーソン辞任の後、しばし国務長官代理。
・彼の後の国務省Deputy secretaryには、北朝鮮特別代表のStephen Biegunビーガンがあるものと予想されている。ビーガンはポンペオの後の国務長官に昇格し、Pompeoはカンザスから上院議員に出馬するものと思われている。
・7月、ジュネーブでの米ロ軍縮対話の団長。
・大統領がウクライナでバイデン情報を求めたことについては、「我々の価値観とは相容れない」と答弁。
★19、12、12 Vesti.ru
ラヴロフ、訪米。1日のみ。大使館で内外記者会見したあと、ポンペオと会談。ホワイト・ハウスのOval Officeでトランプと45分会談。ホワイト・ハウスからはマスコミ閉め出し。
★19、12、11 Military.com
この3ヶ月、ロシア軍は欧州の米軍に対してunprofessionalな挑発をしていない、とNATO最高司令官Tod Wolters言う。
「これは自分が7月、バクーでゲラシモフと話し合った結果だ。彼も心配していた」ロシア軍パイロットの跳ね上がり行為の模様。
★19、12、10 Www.pri.org,Andrew Weiss
ラヴロフがホワイト・ハウスを訪れたのは、2017年。それはトランプにとって、PR上の大失敗となった。
今回は10日、下院で弾劾条項発表された日、そしてノルマンディー会合の翌日に、ゼレンスキーや西側国の外相でなく、ラヴロフがやってきてノルマンディーの結果をブリーフィングしたのだ。
ゼレンスキーにとっては、大きなショックだろう。
★19、12、9 WP
プーチンは5日、国防産業の指導者との会談で、新START条約を年内にでも、如何なる前提条件なしに更新する用意があるとのべ、クレムリンは異例にこの個所をマークしてアップ。
(米国にその意志なしと見て、自分自身の前提条件はあえて外して、米国を悪者にしようという算段? そして中国に、自分は中国なしでも交渉する用意があることを見せて、恩を売る)
★19、12、7 自由プレス
米上院国際問題委員会で、David Hail国務省次官(?)がロシアの外交、内政について報告。
上院は、昨年8月棚上げしたDASKAを蒸し返すもよう。
ロシア外での天然ガス液化プロジェクトへの参加を禁じ、14日以上のロシア国債(外貨建て)購入禁止。
違反した者は、ドル決済禁止。
★19、12、8 Voice of America
共和党、軍人家庭の中で、ロシアを友好的に見る者が増えている。ロシアの宣伝、トランプの言動の結果。・Reagan National Defense Surveyの10月末世論調査だと、軍人家庭の46%がロシアをAllyだとしている。米国全体でも28%がAllyと見なしていて、これは昨年の19%より上がっている。
・それでも全国の71%、軍人家庭の53%は、ロシアを敵と見なしている。
・全国の28%が中国をトップ敵とし、25%がロシア。
・世界でのリードの権利は渡さない。
・2018年9月Pew世論調査では(1000人)、35%がロシアとの協力を望んでいた。
・2013年2月のギャラップ世論調査では、44%がロシアに好意的な見方をしていたが、今年2月には24%のみ。
★19、12、2 M.T.
11月、ロシアは新STARTに従って、米国専門家たちにAvangardミサイル(突入グライダーを持つSS-19 Mod4)を視察させた。
新START更新に希望を持たせるもの。
★19、11、29 The Atlantic
このごろロシアでトランプ・ジョーク多数。彼がロシアに弱いことも、ジョークの種。
プーチン、トランプに電話。
「やあ、ドナルド、ちょっとウクライナのこと話ししたいんだけど」
「ウクライナって何?」
「わかった、Thank you。ドナルド。Bye-bye」
★19、11、29 Indian Punchline,M.K.Bhadrakumar
ハフタル将軍は30年にわたってCIAの持ち物。しかし米国の政策、一貫性ない。トランプはハフタルを支持しているようだが、ほかは国連を使った安定化を考えているようだ。
しかも米国はハフタルにロシアが入れ込んでいるのを警戒し、安全保障問題補佐官代理のVictoria Coatesを団長とする代表団を派遣。ハフタルと会って、「ロシアが紛争を利用している」ことに懸念を表明。その数日後、国務省の中東担当次官補David Schenkerも、「ロシアの正規軍、Wagnerがかなりの人数でLNAを幇助している」ことに警戒を表明。
★19、11、27 TASS
24ー26日、ロシアは米国査察要員に、Avangard超音速弾頭装備のミサイルを見せた。これは新STARTに沿ったもの。これによって、ロシアは右延長にコミットしていることを示した。延長が成立すれば、ロシアはクラスノヤルスクのRS-28 Sarmat製造工場も見せるだろう。
今のところ米国は、中国も引き込むことを条件にして突っ張っている。
★19、11、20
ケネディ・スクールのRussia Matters ProjectのDirector、Simon Saradzhyanは、「ロシアをNATO、EUの仲間に入れて、中国と対抗する」アイデアを担いでいるもよう。
★19、11、18 M.T.
10月8日、VTsIOM、1600名の電話・世論調査。
トランプへの無関心、初めて50%を超える。53%。
否定的に見る者は32%、11%がPositive view。
52%が米ロ関係は緊張している、冷たいが20%、敵対的が13%
47%は、米ロ関係が変わるとは思っていない。
★19、11、10 Vesti
シャフナザロフ、米国について批判的なインタビュー。トランプは米国の病気の現れ。米国にとって、ライバルNo.1はロシア。
★19、11、8 Interfax
在米大使アントノフ、5月75回戦勝記念日にトランプにきてほしい、米ソはドイツ戦をともに戦ったのだし、4月25日には、エルベ川での両軍邂逅記念式も開かれる。戦後の歴史を書き換え、殺人者を恩人と描く試みには賛成できない、と発言。
(つまりトランプが5月にいけば、「戦後の歴史を書き換えるな」と、プーチンとともに世界に呼びかけたことにされてしまう)
・アントノフ大使、同時に当面解決しなければならない問題として、
ロシアの市民が米国の要請で、第三国で拘束されていること。
ロシアの外交資産を返還すること。
査証戦争をやめること。
★19、11、8 National Review
Fiona Hill。Steele DossierのChristopher Steeleと3年間、仕事でつきあっていたと言う。彼女がCIAにいた時(when I was the director, the national intelligence officer)の、英国の相手方。
Steele Dosierについては、半信半疑。Steeleが雇われたという印象。
★19、11、8 Inquisitr
Fiona Hill、14日下院での証言で、トランプはビジネスマンの時代からロシア諜報に目を付けられていた可能性を、一般的な言い方で指摘。プーチンがピーテルでまだ、KGBにいた時代。
(2017年のLuke Hardingの"Collusion,:Secret Meetings, Dirty Money, and How Russia Helped Donald Trump Win"によれば、トランプは1987年に初めて訪ソしている。外務省の招待。トランプが政治ににわかに外交に関心を示し、米外交を批判するスピーチをしたのは1987年10月。1988年にはOprah Winfreyに大統領選への野心を語っている)
★◇19、11、6 The Strategist(豪州)、Joseph S.Nye
ロシアは再び力をつけたように言われるが、実際はSpoilerに過ぎない。それでも核戦力、サイバー能力、人材等で侮れない。そして没落する国は冒険をしがちである。
→Declining powers merit as much diplomatic attention as rising ones do.
トランプの後、米国は今欠けているきちんとした対ロシア政策を開発するべし。
★19、11、5 The National Interest
元外交官Dennis Ortblad、PricewaterhouseのKrishen Mehtaはロシアを旅行したあとで、対ロ関係の見直しを提唱。
1)青年をEngageせよ。
2)核軍縮を再開し、NATOを抑制せよ。
3)クリミアはロシア人が多数居住。ロシアのものとして、制裁を見直せ。
★19、11、3 Www.rt.com
8月、米国大使館の軍人アタッシェが病気になり、ドイツに治療にいこうとした際、搭乗した飛行機が理由もなく数時間遅延したことが、ロシアによるHarassmentとして問題に。
★19、10、31 Jamestown
Deir el-Zour地方(油田)に米軍を残すというのは、トランプが発表している。
Abrams戦車、Bradley装甲車も増派と言っている。
→「シリアで勝った!」とわいていたロシア有識者・政治家、ギャフン。トランプはやはり当てにできない、との認識。
★19、10、29 TASS
モスクワ市裁判所、Michael Calveyの自宅逮捕を1月13日まで延長。
★19、10、22 Forbes.com
ロシアの株式市場に流入する外国資本のほぼ半分は北米から。欧州からは26%のみ。
ノリリスク・ニッケルとルークオイルは民営で、制裁を乗り切り、特に人気が高い。
ほかにYandexやMagnit。
ロシアの株式総額はEmerging marketの4%程度だろう。しかし米国投資者の間でははるかに多くをロシアに投資している。
・そしてロシアの債券は、利回りが7%もあるので、欧州の債券よりも選好されている。
★19、10、22 NYT
(コズイレフ元外相、私の知っていた米国はもうない、しかしトランプを弾劾することで道義上の輝きを取り戻すことができるだろう、とかく。
冷戦末期までの米国の価値観を称揚したもので、ロシア国内の保守派には受け入れられないだろう)
★19、10、21 WSJ
シュルツ、ペリー、Sam Nunn、連名でOpen Skies協定を擁護する論説掲載。
★19、10、20 Www.rt.com
ヒラリーが「第三党」を主張するTulsi Gabbardのレジーム・チェンジ反対、対ロ関係改善の政策を批判しているとして、批判。
★19、10、19
14日、両国軍参謀総長、電話会談。ロシアはゲラシモフ、米国は新任のMark Milli。
★19、10、8 Www.rt.com
米下院の外交委員会長(?)Eliot Engel(民主党)、NSCのオブライエンに書簡。「ロシアとの(2002年の)Open Sky協定を破棄しようとの動きが報道されているが、それには反対。カリーニングラード、アプハジア、南オセチアが問題になっているが(たぶん、ロシアが上空監視を認めないのだろう)、それは決定的に重要なことではない。」
・バイデンの外交スタッフも、シカゴの重要な軍事施設上空をロシア機がとんだことを問題視したが、これはOpen Skyとも関係ない、ハワイへの商業便。
★19、10、7 TASS
国務省データでは9月1日現在、
ロシア、核弾頭1426(昨年2月5日より18減少)、513のICBM,SLBM、重爆。
米国は核弾頭1376で、26増加。
668のICBM,SLBM,重爆。
★19、10
米国でロシア議員、Inga Umashevaが拘束され尋問されて、騒ぎに。
真相不明。
★19、9、24 RFE
ロシア、国連総会への代表団(コサチョフ含む)への査証出ていないと言って怒る。外務省は米国公使に抗議文書手交。
(イランのロウハニには結局出た。かつてアラファトが査証を拒否されたことがある。国連に関する協定では、ホスト国は速やかに査証を出さねばならないが、米国はこれに安全保障の縛りをかけている)
★19、9、20 TASS
National Interestの記事によれば、3月14日、米軍のB-52(核兵器搭載せず)はルイジアナのBarksdale空軍基地を出発して、ロシアの空域から60マイルまで接近。巡航ミサイルを発射する演習をして英国のFairford基地に着陸。
これに対してカリーニングラードのAnton Alikhanov知事は、武力で対抗すると強がり。
(中ロ関係)
★◇19、12、18 Valdai
27日、中ロ・イランはオマン沖、インド洋で共同海軍演習の予定。
★19、12、10 South China Morning Post(香港?)、Chi Wang(米国在住老人。かつて議会図書館中国部長。現在米中政策財団会長)
ロシアはネルチンスク条約以来、中国に悪いことをしてきた。他方、米国はアヘン戦争以後も領土をとらなかった唯一の国。
現在も、ロシアと仲良くしてとれるものはなにもない。米国との関係をさらに悪くするだけだ。
ロシアとの貿易は中国経済を蘇生させないが、米国との貿易は蘇生させる。
China needs the US far more than Russia.
・習近平はロシアとくむことによって、中国国民の利益を裏切っているのだ。
・日ロ戦争では、2万の中国人が死んでいる。
・1929年、ソ連は東満州鉄道の支配権を求め、中国軍を破った。その司令官は筆者の父。
・ヤルタ会談では、ショウカイセキに黙って、スターリンはルーズベルトに外蒙古の独立を承認させ、旅順の租借、南満州の利権と東満州鉄道の利権を獲得した。
★19、12、9 TASS
(西側論評では、「シベリアの力」ガス・パイプラインを、ロシアの東方への転換だと評するものもあるが)
フル稼働するのは2025年。中国東北部の石炭依存を減少するのに役立つだろう。
(価格の問題だ)
・Chayanda、Kovyktaのガス。費用は3兆ルーブル以上で、ガスプロムの歴史で最大。
★19,12,7
中国側がガス需要見通しの大幅な引き下げを通告してきた。シベリアの力は他の輸入手段が滞ったときのバッファー。計画では、供給量は初年度50億立方メートルで段階的に増やす。だが、フル稼働のメドはたたない。
○価格。最終的な折り合いはついていない。
○劣勢なのはロシア。「ノルドストリーム」は独企業の出資。シベリアの力は建設費680億ドルをすべてロシア側。供給停止で投資リスクを負うのはロシア。「ロシアにとって商業的な見通しは立っていない」。
★19、12、3 Intellinews.com
中国へのガス・パイプライン「シベリアの力」、2日開通。プーチンはソチから式典に祝辞(?)。
最大容量は380億立米・年予定。
・中国へのガス価格は機密。
・2020年、50億立米が最小供給義務。22年には150億。CNPCのminimum offtakeはその85%。
・問題は、中国に届けても、その先のパイプライン・システムが整っていないこと。インフラ構築の要。
・2025年までには、ガスプロムの輸出の14%を占めるようになるだろう。最大容量になれば、ドイツ(昨年585億立米)に次ぐ顧客になる。
・ガスプロムは250億ドルの前払いを期待していたが、中国は払わず、550億ドルの費用すべてを自分で負った。この費用は、工事中に当初予定の2倍に膨れ上がったもの。下請けの企業はクレムリンに近い有力者たちのもので、不透明。
→ガスプロムはそのひとつで、最大の下請けStroygazmontazh(Arkady Rotenberg所有)の株100%を11ー15億ドルで買収する構え。
・ガスプロムは第3四半期、純益が45%減少。
★19、11、29
ロシア側、「シベリアの力による天然ガス供給は2020年50億立米、21年100億、22年150億を最小とする(?)」。
★19、11、19 Carnegie,Dmitri Trenin
ロシアは、中国のICBM早期警戒設備改善への協力を始めた。購入ではないもよう。
★19、11、10 Fondsk.ru,Valentin Katasonov
World Economic Outlook Database等の数字に依拠して、中国で公的債務が如何に増えているかを詳しく報道。米国、日本に次ぐ世界3位の累積額であることを示す。
★19、11、1 N.G.
Olga Solovyeva、中国経済がrecessionに向かい、世界経済に影響することを正面か
ら報道。
★歴史 19、10、14 Ogonyok No.40、Leonid Maksimenkov
旅順租借返却は、フルシチョフが勝手に決めたようだ。1952年9月15日には、ソ連は中国政府の「要請により」駐留を延ばしている。(朝鮮戦争直後でもあり、中国にとっては、ソ連軍の駐留が望ましかった?)
・1954年10月の中共5周年に、中国がソ連に代表団の派遣を要請。フルシチョフが党第一書記として団長に。当時、マレンコフ首相と係争中。
このとき、突然文書上に、返却が浮上する(そうでもないだろう。毛沢東は以前から要求していたはず)。極東の状況が「変化」(よくなった)ことを理由に挙げている。しかも、ソ連が建設した資産は無償で中国に引き渡す。
その以前から、旅順等でのソ連軍駐留経費がソ連にとって過重になっていた。
★19、10、10 Jamestown,Felgenhauer
プーチンは東方フォーラムで、ロシアが中国の防空・早期警戒システム開発を手伝っていることを明かす。すでに、将来のシステムのためのソフト開発を、ロシアは6000万ドルで受注しているとの報道もある。
・しかしロシア自身のシステムの配備が遅れている。
★19、9、23 James
演習Tsentr
・初めて、ロシアのTu-22M3、中国のXian H-6長距離爆撃機が共同演習。テロリスト集団を爆撃。
★19、9、20 Valdai
李克強、16ー18日訪ロ。
貿易がエネルギー資源以外に拡大していることを強調。サービス貿易が昨年は倍増した。農業、金融、技術も。
特にロシアの中小企業にとって活躍の場。→中ロ関係は米国に対抗するためだけではなく、Pro-activeな協力の場になりつつある。
★19、9、19 South China Morning Post
李克強、訪ロで、メドベジェフと、両国貿易を昨年の1070億ドルから2024年までに2000億ドルにすることで合意。
農業貿易の障壁を双方で除去すること。
(シリア)
★20、1、20 Centrasia
アサド政権、地中海大陸棚の石油・ガス開発につき、ロシア・イランの企業と契約。
Tartus近辺に精油所を作るもよう。
★19、12、25 Centrasia
イドリブIdlibを攻めるシリア政府軍、反政府側が最近抵抗を強めてきたため、戦死者増加。ロシア、トルコは助けてくれない。
★19、11、15
ロシア軍の警察部隊、米軍が基地を設けていた(13日に撤退)アレッポ地方のMetras空港にヘリコプターで到着。警備を開始。米軍が滑走路を破壊しないように。
ロシアのテレビでは、米軍が設備、弾薬等放置して「逃げた」後に、ロシア軍が降り立ったように見せる。
★19、11、11 BBC
白ヘルメット「シリア市民防衛」(SGO)の創設者、英国の軍人ジェイムズ・Le Mezurier(?)、イスタンブールの白ヘル本部近くで、死体で見つかる。足と頭の骨を折ってあった。反アサド勢力を支援。
資金は英国、デンマーク、日本、トルコ、オランダ、ドイツ、USAIDから出ていた。
★19、10、31 Jamestown
Deir el-Zour地方(油田)に米軍を残すというのは、トランプが発表している。
Abrams戦車、Bradley装甲車も増派と言っている。
★19,10,29
反体制派や過激派をイドリブに追い込んで一気に制圧する戦略。イドリブには数万人の戦闘部隊がいる。内部抗争も頻発。一般市民も身を寄せており、人口は300万人。総攻撃を始めれば80万人の避難民が周辺国へ。
★19,10,28
バグダディ容疑者の殺害。8機の米軍ヘリがイラクを飛び立ち、シリア国内のロシア軍支配地域を1時間10分にわたって低空飛行。銃撃に見舞われる。飛行については事前に通知。イドリブにある潜伏先。米軍は約2週間前に容疑者の潜伏先を把握。数カ月前に拘束していた容疑者の側近の妻がもたらした情報。2,3回作戦を計画したことがあるがキャンセル
★19、10、27 Centrasia
ロシア国防省のスポークスマン、コナシェンコフは、米軍は北部の油田地帯を守っているとして、米軍の護衛でタンク・ローリーが原油を運搬している衛星写真を公開。どこに向かっているかはわからない。
イラクのクルド地帯ではないか? (その場合、クルドの石油利権を守ってやっていることになる)あるいはトルコ? (その場合、ISISとトルコの腐れ縁の継続?)。
★19,10,26
シリアに国際部隊を派遣 独、NATOで提案
国防相理事会ではシリア北部に国際部隊、クルド人勢力がISの掃討作戦に専念できる環境をつくる狙い。トルコやロシアとの協力を探っている。
◯エスパー米国防長官は、ドイツ案について「我々が求めてきたものだ」として支持する考え。トルコも計画に前向きな姿勢。
★19、10、23 Bbc.com、Centrasia
トランプはシリアから撤退と言ったが、2017年には2000名いた米軍のうち、200名ほどが南部のヨルダンとの国境地帯に残留。トランプはさらに200名ほどの特殊部隊を東部に残留させて油田地帯を守らせることを考えている。
この数ヶ月、米国は中東の兵力を増強している。「撤退」した軍隊も、イラクに残留するつもり。
★19,10,19
トルコのエルドアン大統領は17日、ペンス副大統領と会談し、クルド人勢力への軍事作戦の停止で合意。米トルコの共同声明はシリア北部に設ける安全地帯の範囲を特定していない。トルコの軍事作戦停止を受け、米国は追加制裁を求めない。
★19、10、9 The National Interest
トルコはトランプの承認を得て、北部シリアを爆撃。戦車で進入。反アサド勢力と協力して。
クルドは危機感を持ち、アサドと協力する用意を示す。
ロシア、イランは沈黙。
★19、10 田中
米軍はシリア最大のデリゾール油田と、南部のアルタンフ基地に残留。後者は、アルカイダ、ISISを支援するための基地だった。
★19年10月 トランプのシリア米軍撤退命令前後
6日、エルドアンとトランプが電話会談、トランプはトルコの対クルド作戦を容認。
7日、米軍一部撤収を開始。
9日 エルドアンープーチン電話会談
同日、トルコがシリア侵入開始。
13日 クルドはアサド政権と手を握る(ロシアが斡旋)
→同日夜シリア軍が進出を開始。
米軍は全面撤収を発表。
クルド地域に拘束されていたIS要員約11、000名は逃亡。約5名の最重要捕虜もしかり。
トランプは後になって、トルコを制裁するかっこうを取った。
★19,9,18
16日、ロシア、イラン、トルコの首脳はアンカラで首脳会談、近くシリアの憲法委員会を立ち上げることで合意。これまで人選を巡る対立。
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