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世界はこう変わる

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2021年1月17日

1月6日米国議会への暴徒乱入が意味するもの

1月6日、米国ワシントンで多数の暴徒が、11月6日の大統領選挙でバイデンが勝利したのは開票の不正によるものだ、との主張を掲げて議会に乱入。その時、議会で進行中だった、バイデン当選を最終的に確認する審議を中断させた。彼らはナンシー・ペロシ下院議長やペンス副大統領(上院議長)を探し回り、前者のオフィスを荒らした。

これは何を意味しているか? まず思い浮かべるのは、米国の「民主化勢力」(共和党、民主党双方傘下のNPOも含む)がこれまで、2003年のグルジア、2004年のウクライナで仕掛けたと言われる「色付き革命」(color revolution)のことだ。「選挙の結果に難癖をつけて大衆行動を組織し、当選者・政権を覆す」というそのやり方を、今回は自分の国、米国に適用したかのように見えるのだ。

ただ今回は、まだ政権にあるトランプ大統領のプロパガンダを真に受けた連中がしかけたことで、上記「色付き革命」のように野党勢力が仕掛けたものではない。その点では、1930年代権力を握ったドイツのナチが、権力を固めるためにしかけた国会放火等、数々のテロに類似している。

トランプは権力欲、虚栄心から、今回の襲撃を煽った。だからこそ、彼への支持率は今や30%前後に落ちており、70%近くは彼が今後政治に携わることに反対しているのだ。従って、今回のことは、「色付き革命」とは少し違う。そして米国の憲法が定める民主主義の体制は、まだ壊されていない。ロシアの識者などは意地悪な笑みを浮かべて、米国の民主主義は機能しないと言うが、まだ一応機能しているのである。

なぜ「一応」と言うか? それは、米国の今の政治のあり方では、民主性を十分確保することが難しいからだ。社会を民主党、共和党の二つに割って、選挙で勝った方が自分の政策を実現して負けた方の利益を無視できる――これでは激しい対立、時には今回のような暴力、武力を伴う対立を導きかねないからだ。

この問題はどう解決できるだろう? まず、政党を右翼・中道・左翼の三つ以上に分け、議会で連立政権を作らないと過半数を形成しにくい状況を作る。こうすれば、社会のより多くの層の利益に配慮することができるだろう。そして、社会を二分しやすい大統領制は廃止して、英国、ドイツや日本のような議院内閣制、つまり議会が選ぶ首相に行政権を与える。

 まあ、これだけの根本的な改革は難しいだろう。しかし、現実の社会に合わせて制度を改革するのは、米国が得意としてきたところだ。18世紀末、英国から独立するために13の州が集まって一つの連邦をこしらえ、その時皆で議論して作った憲法を改良・追加しながら過ごしてきた知恵を、今回も発揮してほしい。

 他方、今回の事件は、これまで米国が世界各地の選挙を「レジーム・チェンジ」の道具として使ってきた――つまり開票に不正があったとして抗議活動を起こし、政権を転覆する――ことが、民主主義の最重要の装置である選挙の有効性を損なってしまったことも示している。開票の公正性をもっと目に見えるものにする等、目に見える改革をしないと、米国の選挙、米国の民主主義は米国民だけでなく、世界で信頼を失うだろう。

制度と同様、重要なことは、自分の権利や生活が何者かによって侵されていると感じ、それゆえにトデマゴーグを支持する、ファシズムの温床をなくすことだ。それも強権ではなく、政治制度の改革、経済政策の改善によってである。

ところで、日本政府がコロナに対処できていないことで、政府を無能と非難する者がいる。
しかし日本政府は、日本人の生活を規制するための十分な権限を法律によって与えられていない。それは、強権政治が日本を第2次大戦に向かわせたことへの反省に基づく。
だから政府は指針を示し、法律の範囲内での規制を実行、あとは国民自身に自覚的に行動してもらうしかない。但し政府は、十分の医療体制、そして企業・商店への休業補償を整えなければならない。数々の規制にもかかわらず、昨年中小企業の倒産が少なかったのは、政府の保障措置、特に低利融資がかなりなものであったことを示しているのだろう。

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