メルマガ 文明の万華鏡 第140号発売しました
(「まぐまぐ」社からメルマガ「文明の万華鏡」第140号を発売しました。その冒頭をアップしておきます。いよいよ大晦日。皆様良い年をお迎えください
昨日も師走だったような感じがしていますが、また1年経ってしまいました。日本では全般に景気が良くなっているような感覚の中で、自民党議員のパーティー券問題で持ち切り。基本的には脱税、そして政治資金規制法及び公職選挙法違反の問題なのですが、その裏には政治にはカネがかかる、という問題があります。
1994年小選挙区制が導入され、2000年には政治資金規制法が改正され、議席を持つ政党はその数に応じてかなりな政治資金を政府から支給されることになりました。その額、自民党は今、年間160億円。立憲民主党で68億円に上ります。このカネは、自民党では派閥の長ではなく、全党の幹事長によって議員に分配されているはずです。
これだけでは足りないのでしょう。「政治家は政策で競争しろ」などと言われますが、小選挙区の議員の場合、政策より個人の問題でしょう。選挙民にとっては、どこも変わり映えのしない「政策」などより、議員との個人的な義理関係の方が重要です。選挙民の冠婚葬祭に顔を出したり、国会見物を組織したりすることが肝心で、これにはカネが必要です。つまり、社会は議員をカネを使う行動に追い込んでいながら、カネを使うことを批判する。こうした矛盾した存在であるわけです。
そして、政治資金を政府が支給する一方、その使い方は法律で過度に厳しく規制されているのが、今回のウラガネ問題の裏にあります。例えば事務所を訪問した選挙民に茶菓を出しただけでも、公職選挙法違反になりかねない。すると、その茶代はウラガネで出しておこう、ということになるのだそうです。
そして安倍政権の下、平家のように驕っていた清和会が尻尾丸出しでウラガネ作りに励み、メンバーを囲っていたのが、共産党赤旗の調査にひっかかり、今年の12月1日には朝日新聞にも出て、大事になったというわけです。
自民党内には岸田総理を引き下ろす動きはなく――今総選挙になれば自民党は大崩れが必至なので――、野党が国会審議を止めるにしても、来年度予算は採択しないと、予算に生活がかかっている多数の選挙民から反発を食うでしょう。旧安倍派が当面無力化されたことで、岸田総理はアベノミクスの桎梏から解放されます。心なしか、彼の表情には自信が感じられます。
というわけで、今月の目次は次のとおりです。
これからの世界、そして国は「無政府状態」へ
(先進諸国でのガバナビリティー喪失)
「近代」の曲がり角
(日本戦後の安保体制の曲がり角)
「プーチンはウクライナ和平を示唆」?
ウクライナ戦争を動かす諸勢力
(ウクライナ過激右翼)
(東ウクライナの利権を差配する者)
(米国の「ネオコン」勢力)
米国は中国経済を救うつもり?
プーチン・ロシアの落とし穴
(ロシア下降の可能性)
今月の随筆1:若者と西欧の距離感
今月の随筆2:宇宙に日傘を
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