メルマガ 文明の万華鏡 第136号発行 日韓米首脳会談について
23日、メルマガ「文明の万華鏡」第136号を「まぐまぐ」社から発行しました。
以下はその冒頭と、目次です。
18日、米国のキャンプ・デービッドで「史上初の正式」日米韓首脳会談が行われました。実現に向けて努力してこられた方々に祝意を述べ、素直に喜びたいと思います。私も30年前ほどには、日本周辺で唯一(台湾もありますが)、政治体制と価値観を共有する韓国との提携が本当に大事だと思っていました。
しかしこれまでの日韓関係を見ると、「いつまた関係がおかしくなっても困らない」ような、構えを設けておいた方がいいと思います。韓国の若い世代の大半は、以前のような強い反日感情を持っていないと思いますが、年長世代のかなりの部分は日本に対する特殊な感情を維持しています。また、政治的目的のためにこれを煽る人たちもいるので、韓国の政権は保守・革新を問わず、任期の途中からは反日の方向に引きずられる例を繰り返してきました。現在の尹錫悦大統領も、議会では与党が過半数を割っている上に来年4月には総選挙を控えていますから、日本との関係では危ない橋を渡っているわけです。
日米は韓国を台湾支援に引き込もうとしているのでしょうが、韓国と台湾の関係は緊密ではありません。多分、韓国としては中国に配慮しているのでしょう。また韓国、台湾双方とも米国の支援を必要としているので、米国の歓心を求めて競り合う面もあるのでしょう。更に経済では、双方とも半導体、電子製品輸出への依存度が高く、競合には激しいものがあります。
バイデン政権には、日韓の友好関係を確かなものにしたいという思いもあるでしょう。バイデンは副大統領の時代、日韓の不仲に悩まされ、仲介の労を取った経験があります。
そしてバイデンが日米韓の結束を固めようとするのには、米中首脳会談を実現する――大統領選までには必須――ために、足元を固めておく、中国への圧力材料とする、という目論見もあるでしょう。更に言えば北朝鮮、台湾等緊迫度を高める西太平洋地域で、日韓を防衛にもっとコミットさせる、いざとなれば日韓に丸投げして米国は傍観できる態勢を作る、という潜在意識もあるかもしれません。
しかしまあ、のっけから斜に構えることなく、日韓関係は進められるところまで大いに進めていったらいいと思います。
今月は暑いこともあり、軽い話題をはさみつつ、論を進めていきたいと思います。
目次
メキシコ湾流が止まる時
日米同盟稀薄化の危険性:日本はどうなる
(日本は主権を使いあぐねるだろう)
(感性だけでは荒くれ者ばかりの世界は渡れない)
東池袋のかき氷
ロシア経済、「軍隊しかない国家」へまっしぐら
――ルーブル暴落の意味するところ――
(兵器増産でGDP水ぶくれ)
(原油輸出収入がなくなったわけではない)
(軍事経済化・ソ連化)
AIのガール・フレンド
「ロシアの兵器大増産」はナンボのものか?
(インフレが蝕む軍需生産)
ロシア文化の根っこはモンゴル?
「ユーロ元」登場と人民元暴落の観測
(ロシアは人民元暴落は起こせない)
カスピ海が干上がる時
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