メルマガ 文明の万華鏡 12周年
まぐまぐ社から出している、メルマガ「文明の万華鏡」は4月末、第144号になりました。まる12年間発刊してきたことになります。その記念号の冒頭部分をアップします。
「文明の万華鏡」第144号
(2024年4月24日)
Japan and World Trends
はじめに
このメルマガはこれで第144号。発刊からちょうど12年経ちました。12年前は、東京財団の職を辞したこともあり、定収を求めてこのメルマガを発刊したのでありました。おかげさまで、社会との接点を維持することができています。
今週は月、火曜と京都に旅行しておりましたので、いつもより1週間ほど早いタイミングでこの原稿を書きました。従って発刊の時には、少々気の抜けたものになる可能性がありますが、ご容赦下さい。
「気の抜けた」と書いたのは、もう既に皆に忘れられてしまっただろう、岸田訪米について書くからです。何か必然性の感じられない、一昔前のスタイルとものの言い方での訪米でした。「何で今、こんな大げさな」という感じ。「もしトラ」とかウクライナとか台湾があるのはわかりますが。
外国訪問には数種類あって、国賓というのがいちばん正式。費用のうちかなりを訪問先国が払ってくれ、儀仗兵の閲兵や先方の首脳主宰のディナーや数日間にわたる地方旅行などがメニューとなります。一方、非公式訪問とか実務訪問というのは、先方との話し合い、会議参加などのための短期間訪問で、ほとんどの費用はこちらもちとなります。
国賓を1年に受ける数というのは、日本では縛りがありますし、米国でもあるでしょう。予算に載せてあるからです。従って、国賓というのはかなり事前に計画されます。一度決めて発表したら、変えることはリスクを伴います。「国賓をキャンセルするほど、日本は危機なんだ」と思われてしまうし、野党から非難される材料となります。
今回岸田総理は、日本国内の多くのことを、訪米に向けて片付け、ふたを閉めて、でかけたわけです。「こんな状態で訪米できるわけがない」と思っていた、自民党の政治資金問題も、誰それの離党とかなんとかで一応けりをつけて。
それにしても、米議会でのスピーチまで強行したのには驚きました。岸田総理自ら今回明らかにしたように、彼が初学年の頃を過ごした小学校で、優しく接してくれた米国が今、苦境にある、肩を並べて一緒に自由と民主主義の価値観を守っていきたい、中国の攻勢を凌いでいきたい、日本の総理として米国議会にそれを訴えたい、という気持ちはわかるのですが、そういうものの言い方が日米の人々の心に響いたのはトランプ前までの話しだろうと思います。
今の米国は、この国は本当に自由と民主主義を奉じている国なのか、自分のことで精一杯の国になってしまったのではないか、と思わせます。しかしそれでも、日米関係は双方にとって重要なので、そこらへんもっと落ち着いて、普通の人が使う言葉で語りかけないと、日米の人間の心には届きません。
というわけで、今月の目次は次のとおりです。
日本で政権党の交代がもうすぐ起きるか?
(政治資金の問題)
(近代の黄昏――選挙の意味減退)
日本経済が地位を下げている理由
(リーマン危機直後、利下げの後れで円高⇒
製造業の海外流出とデフレ傾向)
(日本と欧米、異次元価格体系が生み出すねじれ)
「近代」の曲がり角
(中国・インドは新しい時代を開くのか?)
ドローン戦争
中国共産党イデオローグ王滬寧は吉か凶か
ロシア分裂の預言
今月の随筆:米国ポップ音楽の空洞化
今月の随筆:戦前日本のポップ音楽
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