メルマガ 文明の万華鏡10周年 及び4月の情勢
文明の万華鏡も10周年、第120号になりました。
4月の情勢概説もかねて、その冒頭部分を以下に転載します。
「文明の万華鏡」も第120号、つまりちょうど10年間の区切りをつけたことになります。
世界を調査して回る資金を得たいと思って始めたものですが、それよりも10年間にわたって、毎月自分の考えをまとめ、大変な年代記を作ってきたと思います。その間のご支援に感謝します。
今はウクライナ戦争で話題は持ち切りですが、これは世界で今起きていることの一部。対ロ制裁がエネルギー価格を益々引き上げたこともあって、先進国ではインフレが亢進。日本では円が信任を失うことによるハイパー・インフレ、米国ではこの2,3日の株式暴落が示すように、FRBによる遮二無二の利上げによる不況の可能性(重要な指標である住宅売り上げは3月、2月よりも8,6%減少しています)、欧州もエネルギー価格高騰の中で、ロシア原油・天然ガスを遮断しようという冒険で、「軒並み不況」の構え。
更に、中国の習近平が、「経済をダメにすることなら何でもやる」と言わんばかりに、コロナ対策ロック・ダウンの連発。遂に日本では、パソコンを注文しても産地の中国からいつまでたっても届かない状況に相成っています。
以上に共通するのは、どこも政治的な目的を追求する上で経済を犠牲にして恥じない、という政策を取っていることです。中国は「習近平をトップとする北朝鮮」になってしまったかのように、ほとんど個人崇拝と国内締め付け。秋の共産党大会で彼を終身指導者に持ち上げることが至上命令。若者の失業率は直近で16%(https://ashu-chinastatistics.com/news/808506-76083517680?msclkid=3b4bf6d2c5c011eca074530916201068)、これにあと数カ月で約1000万人もの新卒者が加わります。米国、EUはロシア制裁が至上命令。日本は夏の参院選挙での勝利、バイデン来日の実現が至上命令、という具合になっています。
このメルマガを立ち上げた2012年6月、日本はまだ野田政権。世界はリーマン恐慌からやっと立ち直った頃でした。そしてそれから10年、今起ころうとしていることは、リーマン危機後体制の組みなおしなのでしょう。
それでも世間はまだ、ウクライナ一色。ウクライナと言えば何でも通るという感じ。ウクライナの政治・経済にはずいぶんウラがあって、今回事態が戦争にまで至ったのも、オリガークとか彼らの抱える私兵のエゴイズムがずいぶん作用していると思うのですが、情報不足。
ゼレンスキー大統領は雄弁だと言われますが、彼のようなものの言い方は、ユーラシアではごく普通のこと。要するに、「自分はある大義のために何かをやろうとしている。これを一緒にやらないあなたは、大義を無視するものだ」という言い方で、助けないのは罪悪という気にさせてしまうのです。私はロシア、中央アジアでこの種の物言いにはいやという程付き合わされてきましたが、どれも結局は日本から資金を引き出そうというものでした。
アジアでは、ミャンマーの民主化とかロヒンギャの人々の苦境とか、中国新疆ウィグル人の扱いの方が、日本が「担当」するべき問題だと思うのです。チベットも、老齢のダライ・ラマ14世のあとどうなるか、が大きな問題です。
というわけで、この10周年号では世界の何がどう変わっていくのか、試論を提起して見たいと思います。
今月の目次は次のとおりです。
近代国家のガバナンス
第三次世界大戦はどういうメカニズムで起きるか、極東には波及するか
「円」の信認低下とハイパー・インフレの可能性
リスクフリーのエネルギー資源
「ロシアのない世界」はどうなる?
今月のジョーク
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