メルマガ文明の万華鏡102号から
10月28日、メールマガジン「文明の万華鏡」第102号を発行しました。
その「はじめに」を、転載します。
菅内閣ももう2か月。でも何か狐につままれたような、夢遊病のような、頭(頭脳という意味ではなく顔)のない鶏になってしまったような、現実感の無さ。世界中に安倍・日本の残り香が漂っていますし、日本では安倍氏本人がめっきり元気になって、何かやり、何か言ってはニュースになっていますから、本当に今の内閣は「番頭内閣」の感じが抜けないわけです。
安倍さんには登場した当初から、戦前の歴史を彩った近衛文麿によく似た感じ――毛並みの良さ、風采の良さ、日本全体のことを考えようとする性向――が感じられました。2007年に辞めた時には、二度目の政権があるだろうと思ってましたし、今回は三度目の政権があるのではないかと思い、何人かの識者もそのような感じを持っているようです。
因みに近衛は、昭和16年7月に三度目の政権につくと、対米戦争開始を何とか止めようとして果たさず、3カ月後に政権を放り出して東條英機政権の登場を招いています。安倍氏が3回目に政権を取る場合も、何か同じようなことになってまた政権を放り出し、それは日本の再度の破滅につながるような予感が今からしています。
菅総理は官房長官としてやっていたことを、同じスタイルで続けているだけなので、日本は回っているのですが、それは官僚機構が回している上に乗っているだけ。政治家ならば、総選挙もやらずに続けていていいことではないでしょう。まあ、民主主義のかっこをつけようとすると、日本は再び何も決まらない、何も動かない閉塞状況に陥ること必定。民主主義とか国民の審判などと言わず、官僚機構を回していけば、日本は回るしみんなハッピー、ということなのでしょう。でも何か変だ。何か食い足りない。
ところで、コロナのせいもあって、天皇が「姿を消して」しまっていることに、時々気が付きます。天皇制があった方がいいのなら、周囲が考えてもうちょっと報道される機会を増やした方がいいだろうと思います。
ということで、今月の目次は次の通りです。
今月の目次
数人の老人の想いが動かす今の日本政治
日本学術会議をめぐる騒ぎ
核兵器に未来はあるのか
米国政治の地殻変動
現代の任免権闘争――ローマ教皇とトランプの確執
ケマル・パシャから現代のスルタンへ――エルドアン・トルコ大統領の拡張主義外交
マスコミがあまり言わないこと:キプロスが麻痺させたEUの外交
マスコミがあまり言わないこと:ベラルーシにはロシアの空挺団が駐留中
(なお、6~10月の情勢をまとめた「ロシア旬報」、「旧ソ連諸国旬報」をこのサイト にアップしてあります。ご関心の向きはご笑覧ください)
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